遠心鋳造

遠心鋳造とは、鋳型公転させそれにより発生する遠心力を利用して溶けた金属を鋳型に注湯する鋳造方案で、精密鋳造で利用される3種類の鋳造方案の中で一番鋳込み能力が高い方法です。

遠心力を利用すると回転の開始とほぼ同時に遠心力が働くため、非常に短時間で溶湯が鋳型に注湯されます。このため、凝固の早い金属や鋳物の肉が薄いものや複雑な形状で有効とされます。

鋳造時の溶湯は遠心力により外側に向かって移動し、慣性の法則(物体がその場所に留まろうとする力)の影響で回転方向とは逆方向(斜め45°)に向かって放出されます。これにより鋳型内空洞の湯道内で溶湯は渦を巻くように鋳型内に突入して行きます。鋳型に内在するガスはこの溶湯の渦の中心から溶湯の突入方向に向かって強制的に排出されます。これにより溶湯と内在ガスの置換が早く行われます。

回転数の調整で鋳込み能力を調整できますが、回転半径が長いほど周速が高く遠心力が強くなるので、一般的にはアームの長い鋳造機が有利とされています。

 

しかし一方で、早い速度と溶湯の渦巻きが乱流を起こし、ガスの巻き込みが発生する場合があります。とくに肉厚の鋳造には鋳巣の問題が発生する傾向があり、湯道付近で大きな空洞が発生することもあります。

また、遠心力や慣性の働く逆方向への鋳込みが弱くなるため、ワックスツリーは回転方向と遠心力に逆らわない角度でワックス型を配置する必要があります。

 

ブロックモールド法の鋳造機では、水平回転をする『横型遠心鋳造機』と縦方向に回転させる『縦型遠心鋳造機』の2つの種類があります。

 

横型遠心鋳造機

横型遠心鋳造機の構造イメージ

 

回転軸を中心に回転する回転アームに鋳型を置き水平方向に回転させ遠心力を得ます。回転の同心円状にバランスウェイト(錘)を設け回転の重心が中央の回転軸に来るように調整し回転を安定させます。

鋳型の手前に配置されたルツボで金属を溶解し、溶解完了後に回転を開始します。

 

外部溶解(溶解機能が搭載されていない装置)の遠心鋳造機では、ルツボ内の金属をバーナー炎などで溶解し、溶解完了とともに回転を開始します。

インダクション式など溶解機能が搭載されている装置では、加熱コイル内のルツボにあらかじめ金属を入れ溶解を開始します。

溶解完了とともに加熱コイルが下がりルツボと鋳型が回転する方式です。真空遠心鋳造機は溶解及び鋳造を真空中でできるよう溶解チャンバー全体を真空にできるような密閉容器(チャンバー)を搭載しています。

 

縦型遠心鋳造機

縦型遠心鋳造機の構造イメージ

 

回転軸を中心に鋳型を回転させる原理は変わりませんが、回転方向を垂直方向に行う機構となっています。

装置の設置面積を小さくできる利点があります。

 

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