一般的な埋没材は、本記事でも紹介しますが様々な強度を保有しており、各製品がそれぞれ特長を持っています。その中でも価格と鋳肌は最も重要な要素です。
埋没材のコストを抑えながらも、納得した鋳造品質を追求するためには、埋没材においても自分に合った製品を選ぶことが重要になります。
埋没材(石膏)の価格と質は生産コストに直接影響する
鋳造の肌が荒れた場合、必要以上に研磨しなければならず、仕上げまでの時間コストのロスや、『落ち粉』と呼ばれる切削研磨で発生する貴金属のロスなど、生産コストに直結する損失が発生します。
鋳肌は温度などの鋳造条件により決定されますが、そもそも埋没材の粒子が荒ければ、当然鋳造品の肌も荒れてきます。
仕上げまでのコストを考えると、鋳肌の仕上がりは重要なポイントです。
埋没材自身の持つ『キメの細かさ』がその鋳肌の仕上がりを決定する大きな要素となるのは言うまでもありません。とはいうものの、埋没材のコストは直接的に生産コストにかかわるため、価格も重要な選択肢のひとつです。
品質評価の基準
評価対象は、『鋳肌』はもちろんのこと、『生型強度』『焼成強度』『膨張強度』『スラリーの流動性』などがあります。
混水比により変わるので、客観的な評価対象にはなりませんが、『フローライン』や『脱型性』なども評価要素に含まれます。
消費者の方からすると、これらの要素に対する価格性のバランスで総合評価することになります。
鋳 肌(いはだ)
鋳物の表面を指します。
埋没材の粒子などの大きさや形状で鋳造した際の鋳造物の肌のきめ細かさが決まります。
生型強度(なまがたきょうど)
石膏が自硬した状態の鋳型の強さを表します。
生型強度が弱いと、振動や衝撃による割れが発生したり、粉体が焼結する前のワックス・樹脂の膨張や鋳型内の製品型が焼失する際の燃焼により型内の一部が破壊されるなどの欠陥が発生します。
膨張強度(ぼうちょうきょうど)
鋳型の焼成時に発生する膨張などによる熱応力に耐える強度を指します。
焼成強度が強いほど急激な熱膨張に強くなります。特にヒートショックと呼ばれる埋没材は、焼成強度が極めて高いため昇温中の炉内に入れても型が割れることがありません。
焼成強度が弱いと製品型の膨張応力に負け、型割れが発生します。
焼成強度(しょうせいきょうど)
焼成後の石膏型の強さを表します。
焼成強度が弱いと、溶湯を流入する際、内部の厚みが薄い部分では流入圧力に負けて局部的な割れや欠けが発生します。
また、遠心鋳造などで回転数が高いと鋳型内部や鋳型の底の部分で割れが発生します。
スラリーの流動性(すらりーのりゅうどうせい)
埋没材スラリーの流れやすさを表します。
流動性が良いと埋没が行いやすくなり、脱泡の際の気泡が抜けやすくなります。
流動性が悪いと埋没材の二次脱泡時や埋没材スラリーを鋳型に流し込む際にスラリー自身がワックスツリーの一部を破壊(湯道から製品が取れる)してしまうこともあります。
埋没材(石膏)の品質の安定性が一番
埋没材の評価について話してきましたが、実は最も重要なことは上記以外にあります。
みなさんも充分経験されていることと思いますが、なんといっても一番は、品質の安定性です。
『ある時は非常に良い』が『あるとき突然悪くなる』といった購入した時期により品質にばらつきがある埋没材は、その都度の生産歩留まりが変わるなど、計画生産に困難が発生します。
吉田キャスト工業で販売する埋没材は、品質不良の場合、販売してから一定期間以内であれば商品の交換サービスを行っています。
※品質不良のテストが必要な場合もあります。また、お客様の保管状況やご購入後の期間によっては交換サービスの対象外となる場合がありますので、予めご了承下さい。