『鋳造機を設備しよう』と思った時、生産規模や鋳造金属の種類、必要な設備など、いろいろ考えながら鋳造機の種類を選択することになります。
しかし、なんといってもまず心配になるのは『どのぐらいの予算で鋳造機を買えるのか』ですよね。
高額なものだと思われがちな鋳造機ですが、鋳造工程を工夫すれば想像より安い価格でプロ仕様の設備を揃えることができます。
今回は、アトリエサイズの鋳造機をモデルに、100万円台で鋳造機を購入するための方法をご紹介します。
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『価格』だけで判断するのはNG
商品として鋳造品を内製したいと考えた時、叶えたい要望は尽きません。
たとえば、
- 制約を受けず感性のままに自由な作品を作りたい
- ある程度の生産効率を求めたい
- 外注での問題点を内製で解決したい
- オリジナルブランドやオーダーメイドを始めるのに小ロット生産で納期を短縮したい
など、せっかく鋳造機を購入するなら全ての要望を叶えたいと思っているはずです。
『安さ』だけで言えば、中古の鋳造機や、海外製の小型鋳造機なども充分候補にあがるでしょう。ですが、これらの要望を叶えたいのなら、その選択はかえってリスクを負う場合もあります。
中古鋳造機
中古で一定以上の『品質』『耐用年数』を保った鋳造機が安価で出回ることは稀です。
前オーナーがどのように使用していたのか分かりませんし、故障パーツの入手経路や修理サービスの有無により、購入後の品質や耐用年数の保証ができないからです。
弊社では中古鋳造機も取り扱っているため、古い鋳造機の修理を受けますが、10年以上前に製造された鋳造機は、消耗パーツの製造が中止されているケースがほとんどです。
つまり、販売されている中古品は消耗パーツが新しいものに交換されているとは限りませんし、故障した際には交換パーツが入手できず、結局新しい鋳造機を再度購入することになりかねません。
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なので、単純に『価格』だけで購入されるのはリスクが伴う場合があります。
中古鋳造機は正しい選定をすれば良いものに巡り会えますが、いつでもあるわけではありませんので購入するタイミングが大切です。
海外製品
海外製の小型鋳造機の価格は、国産の鋳造機に比べて良心的なものが多いですが、真空ポンプの容量などの鋳造能力に限界があるため、複雑な形状ですと充分な仕上がりに至らない場合があります。
また、日本への輸入コストや販売者の利益も本来の価格に含まれているため、原価は相当安い金額です。鋳造機の能力は原価に見合ったものと考慮して検討を進めるべきです。
もちろん、趣味の範囲であれば問題はありませんが、鋳造後に鋳造品を修正する時間と覚悟が必要です。
ある程度プロ仕様の仕上がりを求めるのであれば、それなりの鋳造機を購入する必要があります。
必要なのは鋳造機だけではない
ロストワックス鋳造(ブロックモールド法)の製造ラインは鋳造機以外にも周辺機器を揃える必要があります。
最も一般的な工程をおさらいすると①~⑦に分類することができます。
①原型 ②ゴム型 ③ワックス型 ④ワックスツリー ⑤鋳型作製 ⑥焼成 ⑦鋳造
鋳造機が担う工程は、⑦鋳造のみなのでその他の工程における設備を揃える必要があるのです。
鋳造ラインに必要な装置
- ホットプレス機 15万円
- ワックスポット 20万円
- 小型電気炉(温度コントローラー付き) 40万円
作製した鋳型を加熱し、ワックスを溶解して鋳型外へ排出させる『脱ロウ』と鋳型材を焼き固める『焼成』を行う装置。 - 小型アフターバーナー 20万円
焼成時に発生する臭いを軽減する装置。 - 真空埋没機 70万円
- ハンディ溶解炉 30万円
金属を溶解する装置。 - 鋳造機 100万円
- その他器具 5万円
メス刃・メスホルダー・金属三角錐・アルミ枠・アルミ板・ゴム型押さえ・ブローチホルダー・ブローチ針・レクロン刀・ローベラ・ゴム円錐台・ワックス棒(センタースプルー用)・ステンリング・ラバーボウル・石膏スパチュラ・リングトング・耐火手袋・耐火レンガ
実は、鋳造機の価格は小型であれば100万円程度とそこまで高額ではありません。
鋳造をするためにはこれだけの設備を初期に揃える必要があり、その為におおよそ300万円~500万円の予算が必要になります。
100万円台で購入できる鋳造設備
一般的に300万円~500万円程度かかる鋳造設備ですが、鋳造工程を工夫すれば100万円台で揃えることができます。
CADと3Dプリンターを活用
先にご説明した①原型~④ワックスツリーの工程に必要な設備は、CADと3Dプリンターで行うと外すことができます。ここでおおよそ35万円削減することができます。
埋没機能付き鋳造機
鋳型作製に必須なのが真空埋没機ですが、中には埋没機能が搭載されている鋳造機が販売されています。この埋没機能付き鋳造機を設備すると、おおよそ70万円のコスト削減を実現することができます。
さらに予算を抑えたい方へ
溶解を溶解バーナーで行う場合、ハンディ溶解炉が必要ないため30万円程削減が可能です。
※初めて鋳造をされる方々には、品質の安定性や安全上の問題でハンディータイプの電気式溶解炉のご購入を強くおすすめします。
埋没機能付き鋳造機とは
その名の通り、埋没機の機能が搭載された鋳造機のことです。
弊社では、卓上の小型吸引鋳造機で真空脱泡装置としても使用できるプチキャストという商品を販売しております。
1200℃以下の金属、つまりゴールドやシルバーなどの鋳造が可能です。(プラチナ不可)
製品の大きさや期待される製品量は鋳型サイズでφ90×100で、一般的なサイズの指輪で1鋳型4型~8本程度です。
オリジナル商品やオーダーメイドを鋳造される際、小ロットで生産開始できるため、受注から納品までを短縮することができます。
小規模鋳造工場の最小スペースとレイアウト
弊社鋳造機のプチキャストを使用した場合、3畳部屋相当のスペースで収まります。
3Dプリンター樹脂からのキャスティング製造ラインで、最低限必要な生産スペースの一例を説明します。
■ 鋳造機/プチキャスト
■ 小型電気炉(温度コントローラー付き)
■ 小型アフターバーナー
■ 換気扇
■ 棚
■ 作業机
■ 水道設備
初めてオリジナル・キャストをされる方へ
初めて鋳造をされる方、外注から内製にされる方向けに、初期に必要な器具や材料を一式揃えたスターターキットをご用意しております。
また、最も歴史の長い鋳造メーカーだからこそお教えできる、器具の使い方や鋳造の技術サポートも行っております。
初心者の方でも安心して鋳造をスタートすることができるサポート体制を整えておりますので、どうぞお気軽にご相談ください。
その他鋳造機についてのご要望がある場合は、こちらまでお問い合わせください。
お客様に合った鋳造機導入プランをご提案させて頂きます。