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鋳造用語集

テネシン
Tennessine

2010年、ロシアのドゥブナ合同原子核研究所(JINR)とアメリカのオークリッジ国立研究所(ORNL)、ローレンス・リバモア国立研究所(LLNL)などによる国際共同研究チームは、カルシウム48イオンをバークリウム249標的に衝突させることで、原子番号117の新元素の合成に成功した。これが現在のテネシンである。

この実験では数か月にも及ぶ照射実験の末、わずか数個の原子しか生成されなかったが、その崩壊系列を詳細に解析した結果、新元素であることが確認された。2015年に国際純正・応用化学連合(IUPAC)が正式に発見を認定し、2016年に「テネシン(Tennessine)」という名称が正式採用された。

「テネシン(Tennessine)」という名称は、アメリカ合衆国テネシー州(Tennessee)に由来している。テネシー州にはオークリッジ国立研究所をはじめ、超重元素研究に大きく貢献した研究機関が数多く存在しており、その長年の功績を称えて命名された。元素名がアメリカの州名に由来する数少ない例の一つでもある。

テネシンは周期表17族(ハロゲン元素)に属する人工放射性元素であり、現在知られているすべての同位体は人工的に合成されたものである。最も長寿命とされるテネシン294でも半減期は約50〜80ミリ秒程度と極めて短く、生成後すぐにα崩壊を繰り返して別の元素へ変化してしまう。そのため、現在までに肉眼で確認できる量が作られたことは一度もなく、化学的性質を直接測定した例もほとんどない。

理論計算では、テネシンはハロゲン元素でありながら、フッ素塩素のような典型的な非金属とは異なり、金属的な性質をある程度示す可能性が指摘されている。これは、原子番号117という非常に重い原子では電子が光速に近い速度で運動するため、「相対論効果」と呼ばれる現象によって電子配置や化学的性質が変化すると考えられているためである。その結果、反応性はヨウ素アスタチンよりさらに低く、一般的なハロゲン元素とは異なる挙動を示す可能性がある。

天然には存在せず、現在も大型加速器を用いた原子核融合反応によってのみ生成される。合成には極めて高価なバークリウム249が必要であり、実験そのものも世界で限られた研究施設でしか実施できない。

現在のところ実用用途は存在せず、その利用は超重元素の性質解明原子核構造の研究に限られている。しかし、テネシンの研究は「安定の島」と呼ばれる、より寿命の長い超重元素の探索にもつながる重要な研究分野であり、周期表の限界を探る最前線の元素として世界中の研究者から注目されている。

元   素   記   号   Ts
陽      子      数  117
価   電   子   数   7(理論値)
原      子      量   約294(最長寿命同位体)
融                点   不明(理論値:約350〜550℃と推定)
沸                点   不明(理論値:約610℃前後と推定)
密                度   1不明(理論値:約7〜8 )
存      在      度   天然には存在しない(人工元素)宇宙  確認されていない 
代表的な製品   超重元素研究、原子核物理学、元素合成研究究

-こぼれ話-
テネシンは現在のところ、「世界で最も珍しい元素の一つ」といわれています。
これまでに人工的に作られた原子は数十個程度と考えられており、その寿命も1000分の1秒にも満たないほど短いため、実際にその性質を詳しく調べることは非常に困難です。
また、ハロゲン元素の仲間でありながら、理論上は「金属らしい振る舞いをするかもしれない」と予測されている点も興味深いところです。周期表では同じ族に並んでいても、原子番号がここまで大きくなると通常のルールが少しずつ崩れ始めます。テネシンは、化学と物理学の境界にある「未知の世界」を研究するための、まさに最先端の元素といえるでしょう。

 

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