アメリシウム
Americium
アメリシウムは、原子番号95の元素であり、アクチノイド系列に属する人工放射性元素である。1944年、アメリカ・シカゴ大学冶金研究所(マンハッタン計画)のグレン・T・シーボーグらの研究グループによって、プルトニウム239に中性子を照射することで初めて合成された。元素名は、ランタノイド系列のユウロピウム(Eu)に対応する元素であることから、大陸名「アメリカ(America)」にちなみ命名された。
周期表では第7周期・第3族に位置し、電子配置は [Rn] 5f⁷ 7s² である。化学的には+3価が最も安定であるが、+4価や+5価、+6価を示す化合物も知られている。銀白色の金属で比較的柔らかく、空気中では徐々に酸化する。
天然にはほとんど存在せず、原子炉内でプルトニウムが中性子を吸収し、複数回のβ崩壊を経ることで生成される。工業的にも原子炉で製造されており、主にアメリシウム241(²⁴¹Am)が利用されている。
アメリシウム241は強いα線を放出する一方で、微量のγ線も放出するため、小型で安定した放射線源として利用される。最も身近な用途は住宅用火災警報器(イオン化式煙感知器)であり、ごく微量のアメリシウム241が空気を電離させ、その電流の変化によって煙を検知する仕組みとなっている。また、工業用厚さ計、密度計、放射線測定機器、研究用線源などにも利用されている。
アメリシウムは原子力技術の発展とともに誕生した元素であり、放射線源として現在でも幅広く活用される重要な人工元素の一つである。
| 元 素 記 号 | Am |
| 陽 子 数 | 95 |
| 価 電 子 数 | 9 |
| 原 子 量 | 243 |
| 融 点 | 約1176 |
| 沸 点 | 約2607 |
| 密 度 | 13.67 |
| 存 在 度 | 天然にはほとんど存在しない(人工元素) 宇宙 天然には確認されていない |
| 代表的な製品 | イオン化式煙感知器(火災警報器)、工業用厚さ計、密度計、放射線測定機器、研究用放射線源 |
-こぼれ話-
アメリシウムは、世界で最も身近な人工元素の一つです。
一般の人が目にする機会はほとんどありませんが、多くの家庭や公共施設に設置されているイオン化式煙感知器には、ごく微量のアメリシウム241が使われています。その量は通常約0.3マイクログラム程度と非常に少なく、ケース内部に密封されているため、通常の使用で人体に影響を及ぼすことはありません。
また、アメリシウムは「アメリカ」にちなんで命名された元素であり、ヨーロッパに由来するユウロピウム(Eu)と対になるように名付けられました。このように、大陸名が元素名になっている例は非常に珍しく、周期表の中でも印象的な命名の一つとなっています。
アメリシウム241は半減期が約432年と長く、長期間にわたり熱を出し続けることから、宇宙探査機の電源(RTG:放射性同位体熱電発電機)への利用が検討されています。従来はプルトニウム238が主流ですが、近年では入手性の良いアメリシウム241を利用する研究も進められており、将来の深宇宙探査を支える元素として期待されています。
このアメリシウム241は、アメリシウム241は、プルトニウム241がβ崩壊することで自然に生成されます。そのため、核燃料やプルトニウムを長期間保管していると、時間の経過とともにアメリシウムが徐々に増えていきます。この性質は核燃料の再処理や保管管理において重要であり、放射線量や発熱量が変化する要因の一つになっています。
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