フレロビウム
Flerovium
1939年、フランスの物理学者マルグリット・ペレー(Marguerite Perey)は、アクチニウム227の放射性崩壊を研究する中で、未知の元素を発見した。これが原子番号87のフランシウムであり、自然界で最後に発見された元素である。それまでにも原子番号87の元素の発見報告はあったが、いずれも誤りであることが判明しており、ペレーによる発見が正式に認められている。
元素名(Francium)は、発見者の祖国であるフランス(France)に由来している。発見当初、ペレーは「カチウム(Catium)」という名称も検討したが、最終的に自国への敬意を込めて「フランシウム」が採用された。
フランシウムは、第7周期・第1族に属するアルカリ金属である。電子配置は [Rn] 7s¹、価電子数は1個で、通常は+1価を示す。周期表ではセシウムの下に位置し、理論上はすべての元素の中で最も反応性が高い金属と考えられている。しかし、極めて短寿命であるため、金属としての性質を直接測定することはほとんどできておらず、多くの性質は理論計算によって予測されている。
天然には、ごく微量がアクチニウム227の放射性崩壊によって生成される。最も長寿命の同位体であるフランシウム223でも半減期は約22分しかなく、地球全体に存在するフランシウムの総量は約20~30グラム程度と推定されている。そのため、鉱石から取り出して利用することは不可能であり、研究用としても必要に応じて放射性崩壊から得られるごく少量が使用される。
フランシウムには工業用途や商業用途は存在しない。一方で、その単純な電子構造と非常に大きな原子番号を持つことから、原子物理学や相対論的効果、弱い相互作用の研究に利用されている。また、レーザー冷却による精密測定の対象元素としても注目されており、標準模型を超える新しい物理法則の探索にも活用されている。
| 元 素 記 号 | Fr |
| 陽 子 数 | 87 |
| 価 電 子 数 | 1 |
| 原 子 量 | [223](推定) |
| 融 点 | 約27 ℃(推定) |
| 沸 点 | 約677 ℃(推定) |
| 密 度 | 約2.5(推定) |
| 存 在 度 | 地球 極微量(地球全体で約20~30 gと推定) 宇宙 極めて微量。 |
| 代表的な製品 | 実用製品なし(原子物理学・基礎科学研究用) |
フランシウムは、理論上、すべての金属の中で最も反応性が高い元素と考えられています。
もし十分な量のフランシウムを水に入れることができれば、セシウム以上に激しい反応を起こすと予測されています。
しかし実際には、天然には極めて微量しか存在せず、人工的に作られる量も数万~数百万個の原子程度です。さらに半減期が約22分と短いため、水に入れて反応を観察できるだけの量を集めた研究者はこれまで一人もいません。
つまりフランシウムは、「最も反応性が高いと考えられているのに、その反応を誰も直接見たことがない金属」なのです。
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