ルビジウム
Rubidium
1861年、ドイツの化学者ロベルト・ブンゼン(Robert Bunsen)とグスタフ・キルヒホフ(Gustav Kirchhoff)は、鉱物リチア雲母(レピドライト)を分光分析する中で、新しいアルカリ金属元素を発見した。前年に発見したセシウムに続き、分光分析によって発見された2番目の元素である。炎色反応では識別できなかったが、分光器で観測した際に鮮やかな赤色のスペクトル線が現れたことから、新元素であることが判明した。
元素名(Rubidium)は、ラテン語の「Rubidus(暗赤色・深紅色)」に由来している。これは、分光分析で観測された濃い赤色のスペクトル線にちなむものである。
ルビジウムは、第5周期・第1族に属するアルカリ金属である。電子配置は [Kr] 5s¹、価電子数は1個で、通常は+1価を示す。銀白色で非常に柔らかい金属であり、融点は39.3℃と低く、暖かい環境では液体になることがある。アルカリ金属の中でも反応性が高く、空気中では急速に酸化し、水とは激しく反応して水素を発生するため、灯油やアルゴン雰囲気中で保存される。
天然には単体では存在せず、主にレピドライト(リチア雲母)、ポルサイト、カーナライトなどの鉱物中に微量含まれている。単独で鉱床を形成することは少なく、リチウムやセシウムの製錬過程で副産物として回収されることが多い。
ルビジウムは、光を受けると電子を放出しやすい性質(光電効果)を持つため、光電管や光電子増倍管などに利用される。また、ルビジウム原子時計はセシウム原子時計より小型・低コストであることから、通信基地局、GPS補助装置、人工衛星、放送設備などの高精度な時刻同期装置として広く利用されている。さらに、量子コンピュータやボース・アインシュタイン凝縮(BEC)の研究でも重要な元素となっている。
| 元 素 記 号 | Rb |
| 陽 子 数 | 37 |
| 価 電 子 数 | 1 |
| 原 子 量 | 85.468 |
| 融 点 | 39.3 |
| 沸 点 | 688 |
| 密 度 | 1.23 |
| 存 在 度 | 地球 約90 ppm 宇宙 比較的少ない。 |
| 代表的な製品 | ルビジウム原子時計、光電管、光電子増倍管、真空管、量子コンピュータ研究、原子物理学研究 |
ルビジウムは、「量子コンピュータ時代を支える元素」として注目されています。 1995年、ルビジウム87を極低温までレーザー冷却することで、「ボース・アインシュタイン凝縮(BEC)」という新しい物質の状態が世界で初めて実現されました。この状態では、多数の原子がまるで一つの巨大な原子のように振る舞います。 つまりルビジウムは、未来の量子技術を切り開いた代表的な元素として、現在も世界中で研究が続けられているのです。
ルビジウム原子は、レーザー光を使うことで絶対零度(−273.15℃)に極めて近い温度まで冷却することができます。この状態では原子の動きがほぼ止まり、一つひとつの原子を精密に制御できるようになります。
この性質を利用して、量子コンピュータや量子通信、超高精度な原子時計、重力センサーなど、次世代技術の研究が世界中で進められています。
この成果は2001年のノーベル物理学賞につながり、その後、量子コンピュータ、超高精度原子時計、量子通信、重力センサーなど、最先端技術の発展を支える重要な基盤技術となりました。
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