ウラニウム / ウ ラ ン
Uranium
1789年、ドイツの化学者マルティン・ハインリヒ・クラプロートは、ピッチブレンド(瀝青ウラン鉱)の分析中に未知の元素を発見した。当初は酸化物の状態であったが、新元素であることを確認し、「ウラン(Uranium)」と命名*した。
その後、1841年にフランスの化学者ウジェーヌ・ペリゴーが純粋な金属ウランの単離に成功している。
*「ウランの命名」
ウランという名称は、1781年にイギリスの天文学者ウィリアム・ハーシェルによって発見された惑星「天王星(Uranus)」に由来する。当時、天王星の発見は科学界における大きな話題であり、新元素にもその名が与えられた。この命名は後に、ネプツニウム(Neptune)、プルトニウム(Pluto)へと続く超ウラン元素の命名の基礎となった。
ウランは銀白色の重金属で、天然に存在する元素の中では最も原子番号が大きい元素である。空気中では徐々に酸化し、粉末状では発火することもある。また、比重は約19.1と非常に大きく、鉛よりも約70%重い。
天然ウランは主にウラン238(約99.27%)、ウラン235(約0.72%)、ウラン234(約0.005%)の3種類の同位体から構成されている。このうちウラン235は熱中性子によって核分裂を起こしやすく、原子力発電や研究炉の燃料として利用されている。一方、ウラン238は核分裂しにくいが、中性子を吸収することでネプツニウム239を経てプルトニウム239へ変換されるため、核燃料サイクルにおいて重要な役割を担っている。
ウランは放射性元素であるが、天然ウランの放射能は比較的弱く、主にα線を放出する。人体への影響は放射線だけでなく、重金属としての化学毒性も考慮する必要があり、大量の摂取や吸入は腎臓などへ悪影響を及ぼす可能性がある。
かつてウラン化合物は、その鮮やかな黄色や黄緑色を利用してガラスや陶磁器の着色剤として広く使用されていた。現在でもアンティークの「ウランガラス」は紫外線を当てると鮮やかな緑色に蛍光を発することで知られている。
また、ウランは地質年代を測定する「ウラン・鉛年代測定法」にも利用されている。ウラン238およびウラン235が長い年月をかけて鉛へ崩壊する性質を利用することで、地球や岩石の年代を数十億年という精度で求めることができる。
現在、ウランの最も重要な用途は原子力発電用燃料である。濃縮ウランは発電用原子炉や研究炉で利用され、世界の電力供給を支える重要なエネルギー資源となっている。また、濃縮工程で残る劣化ウランは高い密度を活かし、放射線遮へい材、航空機のバランスウェイト、一部の産業用途などにも利用されている。
ウランは、エネルギー資源としてだけでなく、地球科学、年代測定、材料科学など幅広い分野で重要な役割を果たしている元素であり、現代科学と工業を支える代表的な重元素の一つである。
| 元 素 記 号 | U |
| 陽 子 数 | 92 |
| 価 電 子 数 | 6(電子配置:[Rn] 5f³ 6d¹ 7s²) |
| 原 子 量 | 238.02891 |
| 融 点 | 1,132.2 |
| 沸 点 | 約4,131 |
| 密 度 | 19.05 |
| 存 在 度 | 地球 0.91ppm / 地殻中 2.7ppm / 宇宙 0.009 |
| 代表的な製品 | 原子力発電燃料、研究炉燃料、プルトニウム製造原料、ウランガラス、年代測定、放射線遮へい材(劣化ウラン) |
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