ワックスツリーの形状は、鋳造方案(鋳込み時に加わる力の方向性)や鋳造品の大きさなどにより望まれる形状が異なります。
また、融点の違いや金属の種類によっても形状を変えることが望まれます。
今回は加圧鋳造のワックスツリー立てをご紹介します。
加圧鋳造の圧力は湯口から下方向にかかるため、溶湯は垂直、水平方向共に流れるので、他の鋳造方案と比べてワックスツリーの形状に自由度があります。
しかし、鋳型の通気性が損なわれるとガス鋳巣や鋳込み不良のリスクがあるので注意が必要です。
加圧鋳造の理想的なワックスツリー
ワックスツリーの形状に自由度はあるとは言え、細長い形状だと水平方向には圧力がかかりにくいので、鋳造物は若干下方に傾けるのが基本です。
製品が大きい場合のワックスツリー
製品の縦方向の寸法が長く、鋳型に収容できない場合は、下図のような形状にします。
但し、鋳込み時間が基本と比べて短いため、スラグなどの不純物やガスの巻き込みなどが発生するリスクがあります。
また、別記事の『ワックスツリー立ての3原則|鋳造で大事な湯道方案』でも解説した通り、ワックスツリーの先端部周辺はホットスポットとなるため、鋳造温度を高くすると、製品の鋳肌が荒れる可能性があります。
※ 吸引鋳造でも同じように取り付けることができます。
製品が肉厚な形状の場合のワックスツリー
比較的単純な形状で肉厚の製品は、下図のように取り付けます。
また、溶解時にスラグを伴う金属や、凝固時にガスを多く発生する金属を鋳造する際にも有効です。
但し、凝固の早い金属には湯回り不足が発生する可能性が高くなるため注意が必要です。