キュリー点(きゅりーてん)
Curie Point
強磁性体やフェリ磁性体が磁性を失い、常磁性体に変化する特定の温度を指す。
この点は物質固有の特性である。
■ 磁性との関係
物質の磁性は、原子の中の電子が持つ磁気的な性質から生じる。
強磁性体では、これらの電子の磁気が自発的に同じ向きに揃い、物質全体が強い磁性を持つようになる。
しかし、物質の温度が上がると、原子の熱振動が激しくなる。
この熱エネルギーが磁気の整列を妨害し、キュリー点という特定の温度に達すると、電子の向きがバラバラになり、物質は磁性を失ってしまう。
簡単に言うと、熱によって磁石の力がゼロになる温度がキュリー点である。
キュリー点と誘導加熱
誘導加熱では、鉄のような磁性体を加熱する際、キュリー点以下では効率的に発熱するが、キュリー点を超えると磁性を失うため、発熱効率が低下する。
キュリー点を持つ代表的な金属・合金
フェライト系ステンレス鋼(SUS430等) |
約770℃ |
マルテンサイト系ステンレス鋼(SUS410等) |
約770℃ |
オーステナイト系ステンレス鋼(SUS304・SUS316等) |
常温で非磁性のためキュリー点はない |
オーステナイト系ステンレス鋼(SUS304・SUS316等) |
常温で非磁性のためキュリー点はない |
ネオジウム磁石(Nd-Fe-B合金) |
約310℃~340℃ |
フェライト磁石(Fe2O3+BaO 又は Fe2O3+BaO) |
約450℃~500℃ |
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