結晶構造(けっしょうこうぞう)
Crystal Structure
原子、分子、あるいはイオンなどの構成単位が三次元空間にわたって規則正しく周期的に配列した固体(結晶)における、その幾何学的な配列の様式を指す。
■ 結 晶
構成粒子が長距離にわたって規則的に並んでいる固体。
■ 単位胞(単位格子)
結晶の構造を理解するための最小の繰り返し単位となる構造。
この単位胞が並進操作(平行移動)によって繰り返されることで、結晶全体が構成される。
■ 格 子
単位胞を構成する、仮想的な点の三次元配列を結晶格子(またはブラヴェ格子)と呼ぶ。
結晶構造は、物質の硬さ、電気伝導性、融点、光学特性といった多くの物理的・化学的性質を決定する基本的な要素である。
金属に関連する主な結晶構造の種類
金属は一般に、原子同士が金属結合という等方的な結合で結びついているため、原子(金属イオン)がパチンコ玉のように剛体球として、できるだけ隙間なく詰まろうとする傾向がある。
そのため、多くの金属は比較的単純で高い対称性を持つ構造を取る。
| 面心立方構造 | |||||
| 特 徴 | 立方体の各頂点と各面の中心に原子が配置。 最密充填構造の一つ。原子の滑り面(変形しやすい面)が多く(展性・延性に富む傾向がある。 | ||||
| 単位格子原子数 | 4個 | 配 置 数 | 12 | 充 填 率 | 74% |
| 代表的な金属例 | Al, Cu, Ag, Au, Pb, Ni | ||||
| 六方最密構造 | |||||
| 特 徴 | 六角柱の各頂点、上下の面の中心、および中間層に原子が配置。最密充填構造の一つ。立方格子と充填率は同じだが、変形しにくく脆性を示す傾向がある。 | ||||
| 単位格子原子数 | 4個 | 配 置 数 | 12 | 充 填 率 | 74% |
| 代表的な金属例 | Be, Mg, Zn, Cd, Ti, Co | ||||
| 体心立方格子 | |||||
| 特 徴 | 立方体の各頂点と各面の中心に原子が配置。 最密ではない構造。配位数が少なく、低温で脆性(もろさ)を示す傾向がある。 | ||||
| 単位格子原子数 | 2個 | 配 置 数 | 8 | 充 填 率 | 68% |
| 代表的な金属例 | Na, K, Fe(常温), Cr, W | ||||
| 単純立方格子 | |||||
| 特 徴 | 立方体の各頂点のみに原子が位置する。原子が最も疎に詰まった構造。天然の単体金属ではポロニウム のみが常温でこの構造をとる唯一の例。 | ||||
| 単位格子原子数 | 12~192個 | 配 置 数 | 6 | 充 填 率 | 52.4% |
| 代表的な金属例 | Po | ||||
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