平衡状態(へいこうじょうたい)
Equilibrium State
平衡状態は、ある系において、考察の対象となる物質や空間のまとまり、つまり系の性質が時間とともに変化しない状態を指す。
定義を簡単に説明すると、一見すると何も変化していないように見える状態のこと。
しかし、実際には、その変化を打ち消すような逆のプロセスが同じ速さで進行している。このため、全体としては変化がなく、安定した状態が保たれている。
これは「動的平衡」とも呼ばれ、静止しているわけではない点が重要。
平衡状態は、変化の対象により3つに分類できる。
■ 平衡状態の種類
■ 相平衡 (Phase Equilibrium) |
金属や水が複数の「相」で共存している状態。 これは、特定の温度と圧力の条件下で起こる状態。 水で例えると、0℃、つまり、ちょうど固まり始める(又は、溶け始める温度)で発生する。この状態では、一部の水分子は、冷えて氷になり、同時に一部の氷は、熱を奪って水に戻っている。このとき、氷が溶ける速さと、水が凍る速さが同じになっている。 金属の場合、純粋な金属では固体と液体が共存している状態、合金では溶質と結晶が共存している状態がこれにあたる。これらの状態では、溶ける(融解)ことと固まる(凝固)ことが同じ速さで繰り返されている。 |
■ 熱平衡 (Thermal Equilibrium) |
2つの物体を接触させた場合、熱のやりとりがなくなった状態を指す。 温度が異なる2つの物体を接触させると、熱い物体から冷たい物体へ熱が移動する。この熱移動によって、やがて両者の温度は等しくなり、熱の移動が止まる。 熱平衡とは、この系全体の温度が均一で安定した状態を指す。 |
■ 化学平衡 (Chemical Equilibrium) |
反応が起きているフラスコやビーカーの中の物質全体で、可逆的な化学反応において、正反応と逆反応の速度が同じになった状態。 簡単に言えば、「AとBが結びついてCとDになる正反応」と「CとDが分解して、AとBに戻る逆反応」が、まったく同じ速さで進行すること。 この場合、見かけ上それぞれの量が全く変化してないように見えるが、実際には絶えず反応が起き続けている状態。 |
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