共析鋼(きょうせきこう)
Eutectoid Steel
共析点の炭素量、つまり炭素含有量が約0.76%の炭素鋼を指す。
この特定の炭素量は、鋼の冷却過程で、オーステナイトがパーライトに完全に変態する鋼材。
特性
■ 共析反応
冷却されると、共析鋼のオーステナイトは、セメンタイトとフェライトの層状構造からなるパーライトへと直接変態する。
このパーライトは、鋼の強度と延性のバランスがとれた特性をもたらす。
■ 硬度と強度
共析鋼は、亜共析鋼よりも硬く、過共析鋼よりも強靭である。
炭素量が多い過共析鋼はセメンタイトのネットワークが形成されやすく、脆くなる傾向がある。
■ 組 織
室温での組織は、ほぼ100%のパーライトとなる。
この均一な組織は、機械加工や熱処理の制御を容易るす。
■ 用 途
共析鋼は、そのバランスのとれた機械的特性から、幅広い用途で使用されている。
● 鉄道レール
高い耐摩耗性と強度が必要とされるため、鉄道レールには共析鋼がよく使用されている。
● ワイヤーロープ
高い引張強度と疲労強度が必要とされるため、ワイヤーロープに使用されている。
● 工具類
一部の手工具や農業用刃物など、特定の硬度と靭性が必要な用途に用いられている。
鋳造用語 索引