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鋳造用語集

ハッシウム
Hassium

1984年、西ドイツ(当時)の重イオン研究所(GSI:Gesellschaft für Schwerionenforschung、現在のGSIヘルムホルツ重イオン研究センター)のペーター・アルムブルスター(Peter Armbruster)とゴットフリート・ミュンツェンベルク(Gottfried Münzenberg)らの研究グループは、鉛208に鉄58イオンを照射する実験を行い、原子番号108の元素の合成に成功した。生成された原子はわずか数個であったが、その崩壊系列を解析することで新元素であることが確認された。

この元素の発見について大きな異論はなく、1997年、国際純正・応用化学連合(IUPAC)は「ハッシウム(Hassium)」を正式名称として採用した。

元素名(Hassium)は、発見地であるドイツ・ヘッセン州のラテン語名「Hassia」に由来している。重イオン研究所(GSI)が所在するダルムシュタット市はヘッセン州に位置しており、この地域への敬意を込めて命名された。

ハッシウムは、第7周期・第8族に属する遷移金属であり、人工的に合成される超重元素である。電子配置は理論上 [Rn] 5f¹⁴6d⁶7s² と予測され、価電子数は8個で、通常は+8価、+6価、+4価などの酸化状態を示すと考えられている。周期表ではオスミウムの下に位置し、化学的性質もオスミウムに最も近いと予測されている。しかし、生成される原子数は極めて少なく、最も長寿命の同位体でも半減期は十数秒程度であるため、金属として観察できる量を得たことはない。その性質の多くは理論計算と数個の原子を用いた実験から推定されている。

ハッシウムは天然には存在せず、重イオン加速器を用いて人工的に合成される。現在まで実用用途はなく、超重元素の化学的性質や相対論的効果、原子核構造を研究するための基礎科学に利用されている。

2001年には、ハッシウムが四酸化ハッシウム(HsO₄)を形成することが実験的に確認された。これはオスミウムが形成する四酸化オスミウム(OsO₄)と極めてよく似た化学的性質であり、「超重元素でも周期表の規則性が維持されている」ことを示した代表的な成果となっている。

元   素   記   号   Hs
陽      子      数  108
価   電   子   数  8(理論値)
原      子      量  [277](最も長寿命の同位体)
融                点   約1260(理論値)
沸                点   約3700(理論値)
密                度   約41(理論値)
存      在      度   地球 天然では存在しない    宇宙 確認されていない
代表的な製品  実用用途なし(超重元素・基礎研究用)
-こぼれ話-

ハッシウムは、「世界で最も重い揮発性化合物を作った元素」として知られています。
通常、超重元素は寿命が非常に短いため、化学反応を調べることは困難です。しかし研究者たちは、生成されたわずか数個のハッシウム原子を酸素と反応させ、四酸化ハッシウム(HsO₄)を生成させることに成功しました。
この化合物は、周期表で同じ第8族に属するオスミウムの四酸化オスミウム(OsO₄)と同様に揮発性を示し、その揮発性を利用して化学的性質が調べられました。
つまりハッシウムは、「数個しか存在しない原子から化合物を作り、その性質を調べることに成功した元素」という、現代化学の極限ともいえる研究成果を象徴する元素なのです。
また、四酸化ハッシウムは、これまで実験的に確認された中で最も原子番号が大きい揮発性化合物としても知られており、超重元素化学の歴史に残る成果となっています。

 

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