鋳造用語集

モ ル 比(もるひ)
Molar Ratio

物質の粒子の数の比率。
化学の世界では、重さ(g)ではなく、粒子の個数(mol:モル)を基準にして考える。
モル比は、ある物質と別の物質が「何個対何個」の割合で存在しているか、または反応しているかを表わす。

■ 水の合成反応

2H2 + O2 → 2H2O

● 水素H2と酸素O2のモル比は 2:1
● 酸素O2と水H2Oのモル比は 1:2 

冶金学(金属工学)では

モル比は単なる「粒子の数」以上の、「材料の設計図」としての重要な役割を持つ。
冶金学の文脈では、英語で Atomic ratio(原子比)や Atomic percent (at%) と呼ばれることが一般的。

1. 冶金におけるモル比(原子比)の重要性

金属材料の世界では、成分を「重さ(wt%)」で表すことが多いが、理論的な性質(結晶構造や相変態)を考えるときは必ずモル比(at%)を使う。

■ 結晶構造の決定
金属の原子はジャングルジムのように規則正しく並んでいる。
例えば、「鉄原子10個に対して炭素原子1個が隙間に入り込む」といった現象は、重さではなく個数の比(モル比)で決まる。

 金属間化合物の形成
特定の割合で原子が結びつく「金属間化合物(Intermetallic compounds)」の組成式(例:Al3Ti, Mg2Siは、まさにモル比そのものである。

重さ (Weight%) と個数 (Atomic %) の違い

冶金学で最も注意すべきは、「重い原子」と「軽い原子」を混ぜるとき。

例:チタン(Ti)とアルミニウム(Al)の合金

● チタンの原子量は約 48
● アルミニウムの原子量は約 27

もし「重さ」で 1:1(50wt%ずつ)混ぜたとしても、個数(モル比)で見ると、軽いアルミニウムの方が圧倒的に多く存在することになる。これでは狙った結晶構造にならない。

ま と め

冶金学におけるモル比は、「原子がいくつずつ並んでいるか」というミクロな構成を示す指標である。
現場の調合では「重さ」を使うが、研究・開発の理論では「モル比(原子比)」が共通言語となる。

 

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