ナトリウム
Sodium
1807年、イギリスの化学者ハンフリー・デービーは、水酸化ナトリウム(苛性ソーダ)の溶融塩を電気分解することにより、初めて金属ナトリウムの単離に成功した。これは電気分解によって新元素を発見した代表例の一つであり、その後のアルカリ金属研究の発展につながった。
英語名の Sodium は、古くから頭痛薬として用いられていた炭酸ナトリウム「Soda」に由来している。一方、元素記号 Na は、ラテン語で天然炭酸ナトリウムを意味する Natrium に由来する。このため、元素名と元素記号の語源が異なる珍しい元素の一つである。
ナトリウムは銀白色で非常に柔らかいアルカリ金属であり、ナイフでも簡単に切ることができる。また、密度は0.97 g/cm³と水より小さいため、水に浮く数少ない金属としても知られている。
化学的性質は極めて活性であり、空気中では急速に酸化し、水とは激しく反応して水酸化ナトリウムと水素を生成する。この反応では大量の熱が発生するため、水素に引火して炎を上げることもある。そのため、金属ナトリウムは空気や水分を遮断する目的で灯油や鉱物油中に保存される。
自然界では単体として存在することはなく、海水や岩塩(塩化ナトリウム)をはじめ、多くの鉱物中にナトリウムイオンとして豊富に存在する。地殻中では6番目に多い元素であり、海水中にも約1.08%含まれている。
ナトリウムは生体にとって必須元素でもある。細胞外液中の主要な陽イオンとして浸透圧の維持や神経伝達、筋肉の収縮などに重要な役割を果たしている。しかし、過剰摂取は高血圧などの生活習慣病の原因となるため、適切な摂取量が推奨されている。
工業分野では、金属ナトリウムは有機合成用還元剤、ナトリウム蒸気ランプ、液体金属冷却材などに利用される。また、ナトリウム化合物はガラス、紙、洗剤、食品、医薬品など幅広い産業で不可欠な原料となっている。
現在、ナトリウムは生命活動を支える必須元素であるとともに、化学工業やエネルギー分野においても重要な役割を担う代表的なアルカリ金属である。
-こぼれ話-
ナトリウムは水に浮く金属として有名。密度が水より小さいため、金属でありながら水面に浮かび、水と激しく反応しながら動き回ります。発生した水素に引火すると黄色い炎を上げて燃焼することもある。
また、花火や炎色反応で見られる鮮やかな黄色はナトリウムによるもの。これは約589 nm付近の「ナトリウムD線」と呼ばれる強い発光で、街路灯として利用されてきたナトリウムランプもこの性質を利用している。
| 元 素 記 号 | Na |
| 陽 子 数 | 11 |
| 価 電 子 数 | 1 |
| 原 子 量 | 22.98976928 |
| 融 点 | 97.72 |
| 沸 点 | 883 |
| 密 度 | 0.968 |
| 存 在 度 | 地球約(地殻)約23,600 ppm(約2.36 wt%) / 宇宙 約20ppm |
| 代表的な製品 | 食塩、ガラス、洗剤、苛性ソーダ、有機合成、ナトリウム蒸気ランプ、液体金属冷却材、ナトリウムイオン電池 |
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