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ゴールドと文明
金は古来より希少性が高く、最も美しい金属として権威や権力の象徴として使われてきました。古代エジプト、古代メソポタミア、トロイ、クレタ、エーゲ海、そして中国でも金製品が使われていたようです。
また、インカ帝国などでも金を加工する技術を持っていたことが知られています。
日本では、紀元前57年に後漢の光武帝(前6~後57)から贈られて金印が最も古いとされています。
金が人の心に訴えかける大きな要素として希少性が挙げられます。
金の存在度は、銅の1万分の1と言われています。希少性が金の価値を上げていることは言うまでもありません。
『富の象徴』『不変のもの』としてその価値観は現代でも変わっていません。
お金(通貨)は『貨幣価値』により価値が変わる一方、金は非常に耐食性に優れ、腐食しにくいため、その輝きは失われることがありません。
このため、金の価値は『変わらぬもの』としてとらえられています。人々は永遠に色が変わらないことが、永遠の価値につながると考えたのでしょう。
現代でも国によっては『持参金』として、財産を金に換えて持つ習慣があるのはご存じのことと思います。その場合、少しでも金の純度が高い方が好まれるため、インドや中東諸国などでのジュエリーは、K21やK22が主流です。
ゴールドの加工性
金は非常に加工しやすい金属です。厚さ0.0001mmまで薄くのばすことができ、細さで言えば1gの純金から3000mの金線をつくることが出来ます。
金の電気誘導性は銀や銅と比べ劣るものの、合金にした場合には強度が高くなることや耐腐食性も優れているため、電子回路の導線に使用されています。
金の原子構造は、各原子の最も外側の電子が自由に動くことにより、結合された各原子が規則正しく並んでいます。
金の電子は自由に動くことができます。つまり曲げるなどして形を変えても、砕けにくく変形しやすい金属です。また可塑性に富み、その形状を維持することができる。
この性質は一般的な金属も同じですが、金は特にこの傾向を強く持っています。
金(Au)の物理特性
金 GOLD Au
元素記号Auは、ラテン語のAURUM(太陽の輝き)、英名のGOLDはインドヨーロッパ語のGEOLO(黄金)に由来します。
陽子数 | 79 |
価電子数 | - |
原子量 | 196.96655 |
融点 | 1064.43℃ |
沸点 | 2807℃ |
密度(比重) | 19.32 |
存在度 | 地球/3ppd 宇宙/0.187ppd |
存在場所 | 天然金(南アフリカなど) |
主な化合物 | - |
主な同位体 | 107Au(100%) |
身近な金製品/ジュエリー
私たちの生活で最も身近な金は、なんといっても宝飾品です。
金は加工し易さがある半面、非常に柔らかいため、純金に近い純度だと製品強度が保てません。このため日本などではK18、K16、K14などまで品位を落として使われています。(インドや中東などではK22やK21が一般的)
金の含有量を75%まで落としたものがK18です。25%は他の金属なので、当然金の色が変わります。
日本でも、昔は、銅と銀を1:1で割った『五分割り』とよばれる割り方が一般的でした。これは、もっとも純金に近い色とされているからです。
しかし、現在ではファッション性を重視するため金・銀・銅の割合を変えて、金の色合いを変えています。また、金の価格が高騰したため、K10やK9など、従来のK18やK14などより更に低品位の金合金製品も目にするようになりました。
金合金の色とカラーゴールド
ジュエリーを鋳造する時、場合によっては割り金の割合や金の純度を変えた金合金を自社(自分)で調合して鋳造することもあるかも知れません。
こんなとき、金合金のカラーチャートが役に立ちます。
文頭のチャートの色はあくまでもイメージですが、実際に金を使って試行錯誤すると非常にお金がかかるので、金合金を作る際の目安にしてみてください。
カラーイメージ
純金の色イメージ
イエローゴールドの色イメージ
七分割り(銅7:銀3)
六分割り(銅6:銀4)
五分割り(銅5:銀5)
逆六分割り(銅4:銀6)
逆七分割り(銅3:銀7)
カラーゴールドの色イメージ
グリーンゴールド
レッドゴールド
ピンクゴールド
パープルゴールド
ベージュゴールド
グレーゴールド
ホワイトゴールド
レッドゴールドやグリーンゴールドは、古くから「赤割り」や「青割り」とよばれ、日本の伝統金属工芸の色金のひとつとして存在しました。
K18のカラーゴールドの成分
Au | Ag | Cu | Ni | Pd | Cd | Al | Zu | Fe | 硬度 | |
イエローゴールド5分 | 75 | 12.5 | 12.5 | - | - | - | - | - | - | 150 |
グリーンゴールド | 75 | 25 | - | - | - | - | - | - | - | 80 |
レッドゴールド | 75 | - | 25 | - | - | - | - | - | - | 190 |
ピンクゴールド | 75 | 4.5 | 17.5 | - | 3 | - | - | - | - | 170 |
パープルゴールド | 78 | - | - | - | - | - | 22 | - | - | 230 |
シャンパンゴールド | 75 | - | 17.5 | - | 3 | - | - | 4 | - | |
ベージュゴールド | 75 | 5 | 7.5 | - | - | 25 | - | - | - | 170 |
グレーゴールド | 75 | - | - | - | - | - | - | - | 25 | 170 |
ホワイトゴールド | 75 | - | - | 10 | 15 | - | - | - | - | 150 |
※元来のベージュゴールドは、カドミウムを使用するため、現在では製造が不可能。
近年では、カドミウムの代わりにパラジウムや亜鉛を混合し、シャンパンゴールドとして代用している。
但し、発色は、ベージュではなく薄い灰色かかった黄色となる。
金合金の比重と融点
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