直接変態(ちょくせつへんたい)
Direct Transformation / Diffusionless Transformation
生物学と冶金学(金属工学)の分野で使われる用語だが、それぞれ意味が異なる。
冶金学における意味
熱処理において、オーステナイトから別の組織(マルテンサイトなど)が、原子の拡散を伴わず、せん断変形によって瞬時に形成される現象を指す。
冶金学(金属工学)では、「直接変態(Direct Transformation」と「無拡散型変態(Diffusionless Transformation)」は、ほぼ同義として扱われるが多くみられるが、厳密にいうと「変態という現象のどの部分に焦点を当てるか」により、この2つの用語の意味が異なる。
鋼の焼入れ(quenching)時に起こるマルテンサイト変態が代表的な直接変態である。
■ 厳密な意味
「直接変態」は「無拡散型変態」と同じ現象を指すが、マルテンサイト変態のように、オーステナイトが中間相を経由せず、直接、一気にマルテンサイトに変態する様子を表現し、「拡散型変態のように、原子がバラバラに広がるのではなく、原子が集団で位置を少しずつずらし、層と層がズレるように(せん断的に)変形し結晶構造を変える」様子に焦点をあてた用語。
■ 特 徴
原子が移動する時間がないほど、非常に速い冷却によって引き起こされると、原子の並び方(結晶構造)は変化するが、原子の組成は変化しない。
このプロセスは、従来の拡散を伴う変態(パーライト変態など)とは区別される。
生物学における意味
生物が、蛙などの両生類で、卵から生まれ、オタマジャクシになり、その後生体になる変化とは異なり、哺乳類のように生まれた時の体を保ちながら大人になる変化を「直接変態」と呼ぶ。
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