包晶温度(ほうしょうおんど)/ 包 晶 点(ほうしょうてん)
Peritectic Temperature / Peritectic Point
冷却していく過程で、「液体(液相)」と「すでに固まっている固体A(固相A)」が反応して、全く別の「新しい固体B(固相B)」へと変化する「包晶反応」が起こる特定の温度のことで、特定の組成比(平衡状態図に表される点)とその温度を指す。
金属材料の「平衡状態図」を学ぶ上で非常に重要な不変反応(一定の温度・組成でのみ起こる反応)の一つ。
| 鉄・炭素(鋼) / Steel |
| 包晶組成:液体/炭素を約0.53% mass % を含む- 個体/鉄(γ鉄/オーステナイト 炭素含有約0.17%) 包晶温度:1495℃ 炭素が 0.17 mass%(包晶点の組成) の合金を冷やすと、ぴったり 1495℃(包晶温度)で余りなくすべてがガンマ鉄に変わるという劇的な変化が見られる。 |
| 銅 - 亜鉛合金(黄銅)/ Yellow Brass |
| 包晶組成:銅70~60% / 亜鉛30~40% 包晶温度:例:約 902℃の包晶反応 液体(液相)と、銅リッチな固体α (alpha)相が反応して、別の結晶構造を持つ固体β(beta)相)が生まれる。 真鍮の加工性や硬さをコントロールする上で、どの相(α相やβ相)をどれくらい残すかが重要になり、この包晶温度付近での熱処理が関わってくる。適切な温度処理(包晶反応)により強度の高いβ相(金属間化合物)が適量にブレンドされると、銅単体より格段に硬く、かつ削りやすい性質になり、精密機械部品への加工が非常に容易になる。 一方、包晶反応の「最初の結晶(α相)を、新しい結晶(β相)が包み込んで成長が止まる」という性質が原因で、合金内に組成のムラ(ミクロ偏析)が生じやすくなる。また、凝固時の急激な収縮によって「鋳造割れ」の原因になる場合があるため、均一な組織にするために高温で長時間加熱する「焼きなまし(焼鈍/アニール)」が必要になる。 |
| 銅 - スズ合金(ブロンズ)/ Bronze / Gun Metal |
| 包晶組成:銅85~90% / スズ5~10% 包晶温度:約 798℃の包晶反応 液体とα相(固相)が反応してβ相(固相)を形成する。さらに低温側でも別の包晶反応が連続して起こる。 包晶反応によって、非常に硬いΔ(デルタ)相(または ε(イプシロン相)などの金属間化合物が適度に散らばった組織が作られる。この「硬い組織」が摩擦を受け持ち、「柔らかい銅の基質」がクッションとなるため、ギヤ(歯車)や軸受(ベアリング)といった摩耗しやすい摺動部品において極めて強い耐久性を発揮する。 一方、包晶反応が十分にコントロールされないと、硬い金属間化合物が過剰に、あるいは粗大に析出する。その結果、材料全体が非常に脆くなり、衝撃で割れやすくなる。また、液相と固相が共存する温度幅が広いため、鋳造時に溶けた金属が型の中に均一に行き渡りにくい(湯流れが悪い)という製造上の難しさもある。 |
| スズ・銀・銅合金(鉛フリーはんだ)/ Unleaded Solder |
| 電子基板の部品をくっつける、いわゆる「ハンダ」材。環境規制によって鉛(Pb)が使えなくなって以降、この3元系合金が主流にった。このハンダが固まるプロセスの中にも包晶反応が含まれており、ハンダの接合強度や電気的信頼性に大きな影響を与えている。 |
| アルミニウム・チタン系合金 / Al-Ti Alloys |
| 包晶組成:アルミに対して微量のチタン 包晶温度: 665℃の包晶反応 航空宇宙材料などで使われるアルミニウム合金に、組織を微細にする(強くする)ためにチタンをわずかに添加することがある。 液体のアルミニウムとチタン化合物(AlTi)が包晶反応を起こす。このときに生じる結晶が核となり、アルミ全体の結晶粒が非常に細かく均一に凝固するため、材料の強度が向上する。 |
鋳造用語 索引
