ストロンチウム
Strontium
1790年頃、スコットランドのストロンチアン村で採掘された鉱物が、それまで知られていたバリウム鉱石とは異なる性質を持つことが発見された。その後、1798年にスコットランドの化学者トーマス・チャールズ・ホープが、この鉱物に未知の元素が含まれていることを明らかにした。さらに1808年、イギリスの化学者ハンフリー・デービーが溶融した塩化ストロンチウムを電気分解し、金属ストロンチウムの単離に成功した。
英語名 Strontium は、最初に発見された鉱物の産地であるスコットランドのストロンチアン(Strontian)に由来する。元素名が地名から命名された代表的な例の一つである。
ストロンチウムは銀白色の柔らかいアルカリ土類金属であり、周期表ではカルシウムとバリウムの間に位置する。化学的性質はカルシウムによく似ており、空気中では速やかに酸化し、水とも反応して水酸化ストロンチウムと水素を生成するため、通常は鉱物油中で保存される。
天然では単体として存在することはなく、主に天青石(セレスタイト:SrSO₄)やストロンチアン石(SrCO₃)などの鉱物として産出する。世界の生産量の多くは天青石から得られており、中国やスペイン、メキシコなどが主要産出国となっている。
ストロンチウム化合物は炎色反応で鮮やかな深紅色を示すため、花火や信号炎、発煙筒などの赤色発光材料として広く利用されている。また、フェライト磁石、特殊ガラス、セラミックス、電子材料などにも使用される。
一方、放射性同位体であるストロンチウム90(Sr-90)は、ウラン235やプルトニウム239の核分裂生成物として生じる代表的な放射性核種である。カルシウムと似た性質を持つため体内では骨に蓄積しやすく、放射線防護の観点から重要な元素として知られている。
現在、ストロンチウムは花火や電子材料などの産業分野で利用されるほか、放射性同位体に関する環境・医療・原子力分野の研究においても重要な役割を担っている。
| 元 素 記 号 | Sr |
| 陽 子 数 | 38 |
| 価 電 子 数 | 2 |
| 原 子 量 | 87.62 |
| 融 点 | 777 |
| 沸 点 | 1,382 |
| 密 度 | 2.64 |
| 存 在 度 | 地球 約370ppm / 宇宙 約4ppm |
| 代表的な製品 | 花火(赤色発光剤)、発煙筒、フェライト磁石、特殊ガラス、セラミックス、電子材料、放射線研究 |
ストロンチウムは花火の鮮やかな赤色を生み出す元素
炎の中で加熱されると、ストロンチウム原子が特有の赤い光を放出するため、打ち上げ花火や信号炎、非常用発煙筒などで広く利用されています。花火で見られる深紅色の多くは、ストロンチウム化合物によるものです。
一方、放射性同位体の「ストロンチウム90(Sr-90)」は、核分裂によって生成される代表的な放射性物質です。カルシウムと化学的性質が非常によく似ているため、体内に取り込まれると骨や歯に蓄積しやすいという特徴があります。この性質から、原子力や放射線防護の分野では特に重要な核種として長年研究が続けられています。
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