イットリウム
Yttrium
1787年、スウェーデン・ストックホルム近郊のイッテルビー(Ytterby)という村の採石場で、カール・アクセル・アレニウスが黒色の珍しい鉱石を発見した。その鉱石は後にフィンランドの化学者ヨハン・ガドリン(Johan Gadolin)によって分析され、1794年、新しい酸化物(イットリア)が含まれていることが発表された。これがイットリウムの発見である。その後1828年、ドイツの化学者フリードリヒ・ヴェーラー(Friedrich Wöhler)が塩化イットリウムを金属カリウムで還元することにより、金属イットリウムの単離に成功した。さらに1843年には、カール・モサンデルがイットリアを詳しく分析した結果、テルビウムやエルビウムなど複数の希土類元素が含まれていることが判明し、希土類元素研究の大きな発展につながった。
元素名(Yttrium)は、発見のきっかけとなった鉱石が採取されたスウェーデンの小さな村「イッテルビー(Ytterby)」に由来している。この村は化学史上特に有名な場所であり、イットリウムのほか、テルビウム(Tb)、エルビウム(Er)、イッテルビウム(Yb)の計4元素が村の名前から命名されている。
イットリウムは、第5周期・第3族に属する遷移金属であり、希土類元素(レアアース)の一つとして扱われる銀白色の金属である。
電子配置は [Kr] 4d¹5s² で、価電子数は3個、通常は+3価の酸化状態を示す。化学的性質はランタノイド元素と非常によく似ており、天然でもランタノイド鉱石と共に産出することが多い。空気中では表面に酸化皮膜を形成するため比較的安定であるが、高温では酸化しやすい性質を持つ。
天然では主にゼノタイム(リン酸イットリウム鉱:Xenotime)やモナザイト、バストネサイトなどのレアアース鉱石中に含まれている。単独鉱床は少なく、現在はレアアース精錬の副産物として回収されることが多い。
イットリウムは、高機能材料として幅広く利用されている。
代表的な用途として、YAG(イットリウム・アルミニウム・ガーネット)レーザーがあり、金属加工、医療、歯科治療、距離測定などに広く使用されている。また、酸化イットリウムは耐熱ガラスやカメラレンズ、セラミックスの強化材として利用されるほか、YBCO(イットリウム・バリウム・銅酸化物)は液体窒素温度で超伝導を示す高温超伝導材料として知られている。さらに、放射性同位体イットリウム90は肝臓がんなどの放射線治療にも利用されている。
| 元 素 記 号 | Y |
| 陽 子 数 | 39 |
| 価 電 子 数 | 3 |
| 原 子 量 | 88.9058 |
| 融 点 | 1522 |
| 沸 点 | 3345 |
| 密 度 | 4.47 |
| 存 在 度 | 地球 約31 ppm 宇宙 約0.001 ppm(質量比) |
| 代表的な製品 | YAGレーザー、高温超伝導体(YBCO)、LED・蛍光体、耐熱ガラス、光学レンズ、医療用放射線治療材料 |
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