シリコーンゴムは、合成ゴムとしての機能はもとより、現在ではシーリング材・保護コーティング材・絶縁材・ガスフィルター・接着剤など、一般工業製品や医療分野に至るまで様々な用途で使われています。
[sg_popup id="3604" event="click"]ロストワックス鋳造[/sg_popup]の[sg_popup id="3616" event="click"]ブロックモールド法[/sg_popup]でも、[sg_popup id="3581" event="click"]原型[/sg_popup]から[sg_popup id="3619" event="click"]ワックス型[/sg_popup]を作製する型材としてシリコーンゴムを使用しています。
元来、ゴム型材には有機合成ゴムが使用され、海外では現在でも多く使用されていますが、近年では徐々にシリコーンゴムに移り変わってきています。
原型の形状の違いなどによりシリコーンゴムを使い分ける
[sg_popup id="3981" event="click"]ゴム型[/sg_popup]はご存知の通りシリコーンゴムを引っ張りながらカットするため、最低限の強度が必要になります。また、成型時の原型の形状などによっても必要な品質や強度が異なります。
ゴム型用のシリコーンゴムにはいくつかタイプがあり、価格・強度(引っ張り・引き裂き強度)・硬度などの違いがあります。
実際の仕事では生産コストは抑えたいものの失敗しないゴム型を作るためには、いったいどのようなシリコーンゴムが適しているのか・・・
ここではゴム型用シリコーンゴムの選び方を説明します。
価格と品質
シリコーンゴムの総合的な強度が上がると、当然価格は高くなります。コストを抑えながらも必要な硬度や特性など、もちろん好みに合わせてゴムを選びましょう。
価格性 販売価格の高低
ゴムの種類を選択する中で、価格はひとつ大きな要素になります。
安さだけを求めると、ゴムの品質に伴う問題が発生することを念頭に置くことが大切です。ゴムの品質や特性を考慮に入れながら価格と比較して選択していきます。
たとえば、製品部の複雑な箇所には高級品を使い、外側には安いゴムを使うなどの工夫をするのもいいでしょう。
価格が低いゴムは欠点もあるので、生産コストと同様にリスクも考えましょう。
シリコーンゴムの品質を決定する要素
引張強度 引っ張った時のちぎれ易さ
ゴム型は引っ張りながらカットします。原型の形状や場所によっては、かなり強く引っ張る必要があります。
引張強度がないと引く力に負けてゴムが予想外のところでちぎれ、思うようにゴムカットが出来ない場合があります。
複雑な形状には引張強度の高いゴムを選びましょう
引裂強度 引っ張った時の裂け易さ
引き裂き強度とは、ゴムを引っ張った時に『ちぎれないけど、裂けていく』度合いを示します。
ゴム型を引っ張りながら[sg_popup id="3993" event="click"]メス刃[/sg_popup]を当てた時、『思った以上に切れる』のか『自分の力加減で適切な深さで切れる』のか、という違いです。主観的な表現になりますが、引裂強度が低いと『硬めの寒天』を切るような感覚です。
引裂強度が高すぎると、メス刃の持ちが悪いという人がいるように、一定以上の強度があればこの2つの違いは『好み』により評価が変わることがあります。
部分的に厚みのあるものや大きな原型には引裂強度の高いゴムを選びましょう
復元性 曲げた後に元の形に復帰する度合い
復元性とは、曲げの応力を開放したときにゴムが元の形状に戻る度合いを示します。
ワックス型を抜き取る際は、ゴム型を曲げてワックス型にストレスがかからないようにします。復元性がないと使用頻度が重なるにつれて反りが生じ、密着度が低下します。
密着度が低下すると2つに割ったゴム型同士の『嵌合(かんごう)』『合い』が悪くなるのでゴム型の[sg_popup id="3584" event="click"]パーティングライン[/sg_popup]に大きな段差が発生しやすくなります。段差が大きいとワックス型の修正に手間がかかったり、ワックス型の取り直しが必要になる場合もあります。
複雑な形状や中子を伴うゴム型には復元性のあるゴムを選びましょう
ゴム型としての品質を決定する要素
反復強度 継続使用に対するゴム型の耐久性
ゴム型は、ワックス型を取るたびに『引っ張られたり』『曲げられたり』します。
この繰り返しに対するゴム型の耐久性の評価です。
量産する製品には反復強度の高いゴムを選びましょう
収縮性 収縮の度合い
一般的に原型は、使用するゴムの収縮率を考慮して大きく作り仕上がり寸法を合わせますが、収縮の度合いが大きいと原型寸法からの精度が劣ります。
ゴム型の使用が短期間の場合には、低温で[sg_popup id="662" event="click"]加硫[/sg_popup]することで収縮がある程度抑えられます。しかし実際には、低温で加硫させても経時で収縮は進行しますので、リピート生産を考慮に入れる場合は二次加硫を行い完全収縮させてからワックス型を取ると、その後の経時収縮が起きないので長期間に渡り寸法が変化する心配はありません。
完成寸法で仕上がっているモデルを再度ゴム型に取る場合は、収縮率の少ないゴムが最適です。場合によっては[sg_popup id="3986" event="click"]RTV式[/sg_popup]のシリコーンゴムをお勧めします。
出来上がった製品をリモデルする場合には収縮性の少ないゴムを選びましょう
取り扱い上の優劣
充填性 加硫前の原型への密着度
加硫前の生の状態で硬いゴムは詰めにくいので、原型とゴムの間に隙間ができやすくなります。この隙間が一定以上だとゴムの熱膨張でも細部までゴムが行き渡らず、ゴム型に欠陥が発生するリスクがあります。
生ゴムの状態で粘性があると原型との密着度が高く、容易に原型の埋め込み作業が行えます。
細かくて複雑な原型には充填性の高いゴムを選びましょう
切り易さ ゴムカットの容易さ
ゴムカットのし易さはゴムの硬度に由来します。ゴムの硬度が高ければ、ゴム型を引っ張りにくくなり結果的に作業がやり辛くなります。
但し、空洞の大きなもの(原型に厚みがあるもの・板状などの平面の大きなもの)は、硬いゴムを使用しないと空間部がたわみ、原型とワックス型の形状が相違することが多く見受けられます。
また、[sg_popup id="8547" event="click"]ゴム型押さえ[/sg_popup]などの器具を使って手でゴム型を押さえてワックス射出するのではなく、オートクランパー(オートフィダー)などと呼ばれる、自動でゴム型を押える機構が搭載された[sg_popup id="9510" event="click"]ワックスポット[/sg_popup](ワックスインジェクター)を使用する場合は、硬めのゴムをお勧めします。
さらに、同じ形状の鋳造物で個々の地金重量の誤差が許されない場合は、柔らかいゴムを使用するとワックス射出圧力により、個々の鋳造品の重量が定量にならないことがあります。この場合にも硬いゴムを使用することを強くお勧めします。
但し、硬いゴムは柔らかいゴムと比べて引張・引裂強度が劣るのが一般的です。
ゴムカットを簡単にしたい場合には硬度の低いゴムを選びましょう
ただし
地金重量の誤差が許されないリピート製品には硬度の高いゴムを選びましょう
色 ゴムの色の違い
ゴムカットの際は、ゴム型を開いたときに一番張力がかかっている場所、つまり切るべき場所がスジになって見えます。
人によって、このスジが見えにくく感じる色があります。これが『切り易い』『切り難い』の評価につながります。
例えば透明に近いシリコーンゴムの場合、『中身』が見えるので切りやすいと感じる人もいれば、『スジ』が見え辛いので切りにくいという人もいます。
ゴムの色によっては切りにくいと感じるときがある
臭い ゴムの発する臭い
シリコーンゴムは種類により臭いが異なります。人によっては『生理的に合わない』場合もあり、気分が悪くなる人もいます。
ゴムには独特の臭いがあるものがある
色々な角度から『あなたの選択基準ガイド』をご紹介してきました。
身も蓋もない話になりますが、一度使ってみないと分からないねも事実です。ここでの基準を参考にして頂き、あなたに合ったシリコーンゴムを選んで一度ゴムカットしてみてはいかがでしょうか。
【まとめ】鋳造用ゴムカットのポイント/ビギナー編
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