湯 境(ゆざかい)
Cold Shot
鋳造欠陥の一種。
鋳造時に分岐した溶けた金属(溶湯)が型内で再合流する際、完全に融合しきれずに境目や溝のような欠陥となって残る現象。
表面上に筋状の線が現れるだけでなく、接合部の強度が著しく低下する原因となる。
類義語→【湯じわ】
発生メカニズム
溶湯の流動先端部同士が合流する際、空気との接触による酸化膜の形成や温度低下(冷却)が進んでいると、先端同士が接触しても互いに溶け合えなくなる。その状態のまま凝固することで、内部まで及ぶ不完全な結合面が生成される。
主な原因
■ 溶湯の温度不足
注湯時の温度が低い、あるいは型内を移動する途中で冷却が進みすぎている。
■ 充填速度の遅さ
注湯速度が遅く、型全体に溶湯が行き渡るまでに時間がかかりすぎている。
■ 薄肉な製品構造
鋳物の壁厚が薄すぎると熱容量が小さいため、合流する前に一気に冷却される。
■ 排気(ガス抜き)不足
型内の空気や発生ガスが逃げ場を失って背圧となり、溶湯の合流を阻害する。
主な対策・改善手法
■ 注湯条件の最適化:
注湯温度を適正値まで引き上げ、注入スピードを早めて冷却を防ぐ。
■ 湯道(案内部)の再設計
溶湯が最短かつ均一に流れるよう、湯口の位置や大きさを調整する。
■ ガス抜きの設置
溶湯の合流点付近にガス抜き(砂型鋳造の場合は、揚がりなど)を設け、冷えた溶湯とガスを外へ押し出す。
■ 肉厚の調整
極端な薄肉部を避け、溶湯がスムーズに流れる形状に変更する。
なお、金属が途中で固まって行き渡らない「湯回り不良」と混同されがちだが、湯境は「先端同士が接して型自体は満たされているが、結合していない」という違いがある。
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鋳造用語 索引
