鋳造用語集

コペルニシウム
Copernicium

1996年、ドイツの重イオン研究所(GSI:Gesellschaft für Schwerionenforschung、現在のGSIヘルムホルツ重イオン研究センター)のシギュルト・ホフマン(Sigurd Hofmann)らの研究グループは、鉛208に亜鉛70イオンを照射する実験を行い、原子番号112の元素の合成に世界で初めて成功した。生成された原子はわずか1個であったが、その崩壊系列を解析することで、新元素であることが確認された。

その後、追加実験によって発見が裏付けられ、2009年に国際純正・応用化学連合(IUPAC)が発見を正式に認定した。2010年、元素名は「コペルニシウム(Copernicium)」、元素記号はCnとして正式採用された。

元素名(Copernicium)は、ポーランドの天文学者ニコラウス・コペルニクス(Nicolaus Copernicus)に由来している。コペルニクスは16世紀に地動説を提唱し、人類の宇宙観を大きく変えた科学者である。その偉業を称え、この元素名が付けられた。

コペルニシウムは、第7周期・第12族に属する遷移金属(※現在では第12族金属として扱われることも多い)であり、人工的に合成される超重元素である。電子配置は理論上 [Rn] 5f¹⁴6d¹⁰7s² と予測され、価電子数は2個である。周期表では水銀(Hg)の下に位置し、化学的性質も水銀に近いと考えられている。しかし、超重元素特有の相対論的効果が極めて強く働くため、化学的性質は水銀とは大きく異なる可能性が指摘されている。

天然には存在せず、重イオン加速器によって人工的に合成される。生成される原子数は極めて少なく、最も長寿命の同位体でも半減期は数十秒程度であるため、物理的・化学的性質の多くは理論計算によって予測されている。現在は、超重元素の電子構造や相対論的効果、「安定の島(Island of Stability)」の研究対象として重要な役割を担っている。

理論計算では、コペルニシウムは第12族元素でありながら、非常に揮発性が高く、希ガスラドンに近い性質を示す可能性があると予測されている。この予測は超重元素研究の中でも特に興味深いテーマとなっており、相対論的効果によって周期表の規則性がどこまで変化するのかを調べる重要な手掛かりとなっている。

元   素   記   号   Cn
陽      子      数  112
価   電   子   数  2(理論値)
原      子      量
融                点   約10(理論値)
沸                点   約67(理論値)
密                度   約14(理論値)
存      在      度   地球 天然では存在しない    宇宙 確認されていない
代表的な製品  実用用途なし(超重元素・基礎研究用)
-こぼれ話-

コペルニシウムは、「金属なのに気体に近いかもしれない元素」として注目されています。
通常、第12族元素は亜鉛カドミウム水銀と並び、いずれも金属です。しかしコペルニシウムでは、原子番号が112と非常に大きいため、電子が光速に近い速度で運動し、相対論的効果が極めて強く現れます。
この影響により、理論計算ではコペルニシウムは金属結合が非常に弱くなり、融点は約10℃、沸点は約67℃と予測されています。これは水銀(融点 −38.8℃、沸点356.7℃)よりもさらに揮発性が高く、場合によっては希ガスのような化学的性質を示す可能性まで指摘されています。
つまりコペルニシウムは、「周期表では金属に分類されながら、性質は希ガスに近づくかもしれない」という、超重元素ならではの非常に興味深い存在なのです。これは、相対論的効果が元素の性質をどこまで変えることができるかを示す代表的な例として、現在も盛んに研究が続けられています。

 

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