共析反応(きょうせきはんのう)
Eutectoid Reaction
ほとんどの場合で、共析変態と同じ意味で使われる。
合金系において、ある特定の組織の組成の固相が冷却されると、まったく異なる2つの固相に分解する現象。
これは、物質が液体から固体になる際の共晶点と似ているが、共析反応は、すべてが固相の状態で起こる点が異なる。
特性(例:ステンレス鋼)
■ 共析反応
冷却されると、共析鋼のオーステナイトは、セメンタイトとフェライトの層状構造からなるパーライトへと直接変態する。
このパーライトは、鋼の強度と延性のバランスがとれた特性をもたらす。
■ 硬度と強度
共析鋼は、亜共析鋼よりも硬く、過共析鋼よりも強靭である。
炭素量が多い過共析鋼はセメンタイトのネットワークが形成されやすく、脆くなる傾向がある。
■ 組 織
室温での組織は、ほぼ100%のパーライトとなる。
この均一な組織は、機械加工や熱処理の制御を容易るす。
■ 用 途
共析鋼は、そのバランスのとれた機械的特性から、幅広い用途で使用されている。
● 鉄道レール
高い耐摩耗性と強度が必要とされるため、鉄道レールには共析鋼がよく使用されている。
● ワイヤーロープ
高い引張強度と疲労強度が必要とされるため、ワイヤーロープに使用されている。
● 工具類
一部の手工具や農業用刃物など、特定の硬度と靭性が必要な用途に用いられている。
鋼以外でも、金-約80%/銅-約20%(410℃)や、銀-約73%/鉛-約27%(480℃)などの共析点を持つ合金がある。
その他の代表的な共析反応
■ 銅-アルミニウム合金(Cu-Al)
銅を主成分とする合金で、特定の組成の固溶体(高温で安定な固相)が冷却されると、二つの異なる固相(gamma2相とalpha相)に分解する。
この共析変態を利用した合金は、特にブロンズやアルミ青銅の強度向上に役立っている。
■ チタン水素(Ti-H)
水素貯蔵材料などの研究で重要な系である。
特定の組成を持つbeta相(高温で安定なチタンの固溶体)が冷却されると、チタンのalpha相とチタンの水素化物 (delta相)に分解する。
鋳造用語 索引
