鋳造用語集

テ ル ル
Tellurium

1782年、オーストリア領トランシルヴァニア(現在のルーマニア)の鉱山で、オーストリアの鉱山技師フランツ・ヨーゼフ・ミュラー・フォン・ライヘンシュタインは、金鉱石の分析中に未知の元素を発見した。しかし当時は新元素である確証が得られず、その存在は長らく確認されなかった。

1798年、ドイツの化学者マルティン・ハインリヒ・クラプロートがこの元素を詳しく分析し、新元素であることを証明した。そして、ラテン語で「地球」を意味するTellusにちなみ、「テルル(Tellurium)」と命名した。

テルルは銀白色で金属光沢を持つ半金属(メタロイド)である。結晶はもろく、電気伝導性は金属と半導体の中間的な性質を示す。化学的性質はセレンや硫黄に近く、周期表では16族(カルコゲン元素)に属している。

天然では単体として存在することは極めて少なく、多くは金・銀・銅・鉛などの鉱石中にテルル化物として含まれている。銅精錬の電解スライムから副産物として回収されることが多く、生産量は非常に限られている希少元素である。

テルルは優れた熱電特性を持つことから、ビスマステルル化物(Bi₂Te₃)などの熱電材料として広く利用されている。温度差を直接電気へ変換する熱電発電素子や、小型電子冷却装置(ペルチェ素子)の主要材料として実用化されている。

また、カドミウムテルル化物(CdTe)は高効率薄膜太陽電池の材料として知られ、太陽光発電分野でも重要な役割を果たしている。さらに、テルルは鉄鋼や銅合金への添加元素として切削性を向上させる目的でも利用される。

テルル化合物の一部には赤外線検出器や放射線検出器に利用されるものもあり、近年では半導体産業やエネルギー分野において重要性が増している。

一方で、テルルやその化合物は比較的毒性を持ち、大量に摂取すると体内で代謝され、呼気や汗からニンニク臭を放つことが知られている。そのため、研究施設や製造現場では適切な管理が行われている。

現在、テルルは熱電材料、太陽電池、半導体材料など次世代エネルギー技術を支える希少元素として注目されており、今後も需要の増加が期待されている。

-こぼれ話-
テルルは「地球(Tellus)」から名前が付けられた元素だが、そのわずか16年後に発見されたセレン(Selenium)は、ギリシャ神話の月の女神「Selene」が名前の由来。
そのため、周期表では隣り合うテルルとセレンは、「地球と月」という対になる名前を持つ珍しい元素として知られている。
また、テルル化合物を大量に扱う研究者の呼気や汗からニンニクのような臭いがすることがあり、これは体内で生成されるジメチルテルルによるもの。この特徴はテルル中毒の初期症状としても知られている。

元   素   記   号  Te
陽      子      数  52
価   電   子   数  6
原      子      量  127.6
融                点  449
沸                点  988
密                度  6.24
存      在      度  地球 約0.005ppm / 宇宙 約0.002ppm
代表的な製品 熱電材料(Bi₂Te₃)、ペルチェ素子、熱電発電、CdTe薄膜太陽電池、半導体材料、赤外線検出器、快削鋼・快削銅合金添加材

 

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