【ビギナー編】ロストワックス鋳造で使う炉とは/焼成炉・溶解炉・鋳造機

※ロストワックス鋳造のブロックモールド法(ソリッドモールド法)の解説です。

 

炉とは

一口に炉と言ってもその範囲は非常に広いため、一般的には窯炉(ようろ)としてまとめられています。しかし、炉(ろ)と窯(かま)の明確な分類定義はなく、以下のように示されています。

『物を加熱したり溶融したりする目的でつくられた装置。高温焼成に用いられるものを窯というが、炉と窯の区別は必ずしも厳密になされているわけではなく、一般に窯炉あるいは工業窯炉とも呼ばれる(コトバンク/ブリタニカ国際大百科事典)』

 

窯炉の中には、陶芸用の窯や七宝炉、宝石のエンハンスメントを行う高温炉、焼き入れなどを行う炉があります。原子炉・高・溶鉱炉も炉の仲間です。

 

鋳造で使う炉も熱源により種類が分かれており、コークス炉ガス炉電気炉アーク炉電磁誘導炉などがあります。また、焼成炉の中でも一般的な大気炉から焼結炉のような雰囲気炉など様々です。

実は、鋳造機も広い意味では炉の仲間になります。

 

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鋳型を加熱する焼成炉

ロストワックス鋳造ブロックモールド法)の焼成工程には専用炉が必要です。
要求される温度は、鋳造を希望する金属により変わります。

 

■ 融点が1300℃以下の金属  最高到達温度 800℃

■ 融点が1300℃以上の金属  最高到達温度 950℃

 

金属の融点により鋳型に使用する型の材料が異なり、埋没材の焼結温度が異なるためです。

但し、ロストワックス鋳造用の焼成炉は、温度が上がるだけでなく、炉内で物を効率よく燃やすことができる炉でなければなりません

 

鋳造用の焼成炉の条件はこちらの記事をご覧ください。
ロストワックス鋳造の専用炉とは/他の炉で代用できるのか?

 

ロストワックス鋳造機

ロストワックス鋳造(ブロックモールド法)で使われる鋳造機は、熱源外部導入(外部導入)型熱源内蔵型に分かれます。

 

熱源外部導入型

鋳造機自身では金属を溶解する機能が備わっておらず、鋳造機以外の器具や装置で溶解を行う鋳造機を指します。

 

これらは鋳造機自身の機能として、鋳型を回転させる遠心鋳造機能・鋳型を吸引する吸引鋳造)機能・鋳型に圧力をかける加圧鋳造)機能が備わっている装置を指します。

それぞれの鋳造方案についてはこちらの記事をご覧ください。
鋳造方案について

 

溶解は高周波誘導加熱装置で、鋳造機の加熱コイルを誘導加熱します。加熱コイルにはルツボが装着されており、ルツボの中の地金が誘導加熱で溶解されます。溶解が完了したら溶湯を鋳型に注湯し圧力をかけて鋳造します。

 

ちなみに、装置ではありませんが、圧迫蓋を使った圧迫鋳造もあります。

 

熱源内蔵型

金属を溶解する機能が備わっている鋳造機を指します。

連続鋳造機なども含め、現在の代表的な鋳造機のほとんどがこの仕様です。

 

ヒーター内蔵の鋳造機からアーク溶解、誘導加熱まであり、ヒーター式以外は、アーク放電装置や誘導加熱炉に分類されます。

※ 真空雰囲気で溶解が可能な誘導加熱炉の一部は、「該当品」に分類され、海外への設置や移設には輸出許可が必要となります。

 

溶解炉

溶解炉は、金属などを溶融する装置を指します。

溶解炉の中でも2種類あり、溶解だけを行い注湯機能が備わっていない溶融炉と注湯機能を持つ傾注炉に分けられます。

 

溶融炉の場合には炉内で溶けた金属を取鍋などですくい上げて手込めを行います。

電気炉・コークス炉・誘導加熱炉などが該当します。

 

一方、傾注炉には溶湯を流し込む機能が付いているため、鋳造機に分類される場合もあります

インゴット試験片などの金属の塊をつくる溶解炉や、ショットメーカーアトマイザーなどの特殊な装置は、溶解炉か鋳造機なのか明確な分類の定義はありません。

あえて言うならば、電気炉や誘導加熱炉など、熱源による分類になると思います。

※ 真空雰囲気で溶解が可能な誘導加熱炉の一部は、「該当品」に分類され、海外への設置や移設には輸出許可が必要となります。

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