エアーベントとは、ゴム型内の空気を逃がす場所のことを言います。
シリコーンゴムは通気性がありません。そのため、ワックスを注入する際にゴム型内の空気の逃げ道がなくなり、残留した空気が抵抗となってワックスが充填されない場合があります。
切断面からも空気は多少逃げますが、石を留める爪などの先端などに溜まりやすいので切れ込みをゴム型に付け、ワックスの充填性を高めます。
また、『ワックスの流れが合流する場所』にも気泡が発生する場合があります。一度ワックスを射出してワックス型を確認し、必要であれば気泡が発生する場所にもエアーベントの切れ込みを入れます。
グラフで特徴が一目で分かる!
エアーベントを付ける場所
先端部へのエアーベントの切り込みの入れ方は、残留空気が最後に留まる場所に切れ込みを入れます。
但し、テクスチャー部や修正の困難な場所にはエアーベントは取り付けてはいけません。
※赤で示された斜線部が切れ込みを入れる場所
エアーベントの切り込み角度
ゴム型は、横にして上下を押さえながらワックスを注入します。
そのため、ゴム型に対して垂直に切れ込みを入れると、ゴム型を押える圧力でエアーベントの切れ込みが開いてしまいバリが発生しています。
カットを斜めにすることで、切り込みは開かないため、余計なバリの発生を抑えることが可能となります。
エアーベントの内部形状/メス刃の入れ方
切り込みを入れる際は、切開部は小さくし、ゴム型の奥に膨らみを持たせて『懐の深い切り込み』を入れると、余計なパーティングラインの発生を軽減できます。
ゴム型の角部などにエアーベントをつける場合
- ゴム型の切開部をメス刃の幅程度に抑えます。
- 押し入れたメス刃をゴム型内部で回転させえぐるように切れ込みをいれます。
- メス刃を抜き取る際には、入口の切れ込み線が大きくならないようにして刃を抜き取ります。
こうすると切開部を最小限に抑えながら空間の大きなエアーベントを作ることができるので、ワックス型に現れるパーティングランを最小限にとどめることができます。
エアーベントが完了したら、ゴム型と併せてエアーベントにもタルクやベビーパウダーを刷毛で塗り、余分なパウダーを落としてからワックスを射出します。
バリや射出不良がでないようにワックスインジェクターの圧力などを調整しますが、どうしても気泡などが取れない場所には、エアーベントを新たに設けてください。
※ワックスポットの温度や射出圧力を調節してワックス型の欠陥の発生を調節します。
※大気ワックスポットか真空ワックスポットかのワックスインジェクターの機能の違いで気泡の発生やワックスの充填度合いが変わります。
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