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吉田キャスト工業株式会社

【宝飾・アクセサリー】/シルバー(銀)について

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シルバーの特徴

銀は、室温で最高の熱伝導率、電気伝導率を誇る金属です。また、金に次いで展延性が大きく加工性に富んでいて、可視光の範囲で金属の中で最高の反射率(90%/但し、紫外線に対しては3200Åで10%以下)を有し、独特の美しい光沢を放つ貴金属ため、宝飾品や貨幣として使われてきました。

しかし、貴金属の中では金やプラチナと比べ硫化作用により黒く変色し、耐薬品性が劣ります。貴金属としての存在度が劣るため希少性や不変性で他の貴金属より劣ります。

 

人とのつながりの深い金属/シルバー

銀と人のつながりは古く、『紀元前3000年頃には、人間の生活舞台に登場していた。古代において銀が利用され始めたころは、銀の価格は金よりも高いことが多かった。古代エジプトや古代インドにおいては特にそうであり、古代エジプトにおいては、金に銀メッキした宝飾品も存在していた』(ウィキペディアより抜粋)そうです。

このように銀は古くから銀貨や宝飾品、そして食器として利用されてきました。とくに食器として利用される理由として、中世では、人を毒殺する毒物としてヒ素が多用されていたようで、当時の純度の低いヒ素には硫黄が含まれており、硫黄分があるヒ素を銀の器にいれるとすぐに硫化銀に変化して銀が黒くなるため、毒殺を防止する方法のひとつとして利用されていた(諸説あり)ようです。

1800年代の写真の発明依頼、銀化合物のひとつである臭化銀は写真のフィルムの素材として利用されてきました。

臭化銀粒子は銀イオンと臭素イオンからなるイオン結晶で、光を受けると臭素イオンから電子が飛び出します。この電子と銀イオンが結びつくと銀原子の黒い点ができます。この化学現象により次々と黒い銀原子が増えて、目に見えるほどの黒い点となります。このためフィルムを拡大すると、画像は小さな銀の点で構成されているのが見て取れます。

スチール写真やレントゲン写真用のフィルムを回収して銀をリサイクルする作業は、昭和の時代から都市型鉱山の先駆けとして行われていました。

また、近代においては、宝飾品などに利用される以外に、歯科技工分野でも鋳造用素材として利用されてきました。歯科用補綴物の鋳造地金として、銀に30%以下の含有率でパラジウムを混ぜた『銀パラ』と通称される銀パラジウム合金が利用されています。

近年では、脱臭や抗菌効果が期待される元素のひとつとして注目を浴びています。

銀を水に入れ電流を流して電気分解すると銀イオンが発生します。銀イオンは細菌に付着し、呼吸に必要な酸素の働きを止めてしまうため、抗菌効果が期待できます。例えば、銀イオンを含んだ水で衣類の洗濯をすると、銀イオンが繊維をコーティングして細菌の繁殖をおさえるため衣類の防臭効果があることが分かっています。

 

銀(Ag)の物理特性

銀 SILVER Ag
元素記号Agは、ラテン語のARGENTUM(輝く、明るいの意)に由来する。
英名のSILVERは、アングロサクソン語のSIOLTUR。

陽子数 47
価電子数
原 子 量 107.8682
融     点 951.93℃
沸     点 2212℃
密度(比重) 10.500
存 在 度 地球/0.08ppm  宇宙/0.486ppd
存在場所 天然銀、輝銀鉱(カナダ、メキシコ、アメリカなど)
主な化合物 硫化銀(Ag2O)、硝酸銀(AgNO3)、フッ化銀(AgF)、臭化銀(AgBr)、ヨウ化銀(Agl)、クロム酸銀(Ag2CrO4)、塩化銀(AgCl)、硫化銀(Ag2S)
主な同位体 107 Ag (51.839%)、109 Ag (48.161%)、
熱伝導度 1.0cal/cm・sec・dig(金属中第一位/銅より33%良い)
電気比抵抗
1.59μΩ/cm(20℃)(金属中最小/銅より0.8%優れる)
温度係数 0.0041(0~100℃)
線膨張率 19.4×10-6/℃
反 射 率 90%(金属中第一位/紫外線3200Å/10%以下)
引張強度 30~28kg/mm(硬)、14~16kg/mm(軟)
硬 度

 

60~70(硬)、23~25(軟)
※ 常温で12~22日間で再結晶し軟化する。銅を0.5%添加すると、常温で軟化はしない。

 

銀(Ag)の化学的特性

純銀は、空気中で高温に加熱しても酸化はしません。1気圧の大気中で135℃以上になると、酸化物の解離が起こり酸化物が作られ難くなるからです。

但し、オゾンの高圧下では酸化銀AgOとなって黒化します。また、大気中の水分と亜硫酸ガスSO2や硫化水素H2Sにより硫化して黒化します。

純銀を溶解するもの
熱硫酸
硝酸(50%以上は表面に硝酸銀を生じ不溶性となる
強熱状態で、食塩と混合すると溶解する。

 

純銀を溶解しないもの
塩酸(表面に塩化銀ができるため不溶性となる)
王水(表面に塩化銀ができるため不溶性となる)

 

純銀を侵食するもの
硝酸(20~50%)・硫酸・フッ化水素酸・クロム酸・次亜塩素酸・セレン酸・鉄明礬・硫酸鉄水溶液・漂白粉などは純銀を侵食する。

 

耐 食 性
耐アルカリ性 アルカリ水溶液に耐える。但し、青化物(青化ソーダなど)に溶解
アンモニア水溶液に耐える。
耐酸性 酢酸・クエン酸・蓚酸・ステアリン酸・スルフォン酸などに耐える。

 

黒化(硫化)した銀の表面を清浄するもの
シアン化物とアンモニア ※アンモニアは硫化銀、塩化銀をよく溶かす
■濃度15~20%の硫酸水溶液に浸したあと、青化ソーダで中和する。
■局部的な黒化には、重炭酸ソーダを綿棒につけて、乾いたまま擦る。
■市販の黒化した銀の表面を洗浄する専用の薬品を使用する。

 

銀のエッチング液(組織観察用)
■硫酸アンモニアと硫酸銅の溶液
■硝酸水溶液
■アルカリ性塩化銅
■アンモニア水溶液

 

純銀の鋳造特性

純銀を加熱溶解すると、酸素との親和性が大きいため体積の22倍の酸素を吸収する性質があります。また、体積の22倍の酸素を取り込んだときに融点は約30℃低下します。

吸収された酸素は、400℃以上で酸素元素『O』として溶け込み960℃で酸素の含有量は0.01%です。銀を融点以上に加熱すると、銀は蒸気圧が高いため表面から蒸発が始まります。つまり、銀の鋳造では長時間加熱すると銀が少なくなるということです。

溶解した純銀が凝固する際には、吸収した酸素を放出します。190℃の段階で0.002%となり、常温では0.00003%に減少します。この極めて微量の酸素は、酸化銀のかたちで純銀の中に存在します。

これらの銀の特性を考えると、銀は溶解時には多量の酸素を取り込み、温度が下がると急激に酸素を放出するため、凝固した表面は、この放出ガスの影響で非常に荒れた状態となります。この現象を『銀の花降り』現象と呼びます。

純銀を鋳造する場合には、この花降り現象を避けるために湯道を取り付けるの場所に注意が必要です。ひとくちで言えば、純銀の鋳造はかなり難易度が高いということです。

銀の花降り現象を抑えるには、銅を合金すると酸素吸収が制約され改善します。

 

代表的な銀合金の種類

銀と合金される代表的な金属は銅です。コインシルバースターリングシルバーなどの別称を持っています。また、伝統工芸の技法である煮色で銀灰色を発色する四分一などもあります。また、銀食器用の銀合金や電気接点用の銀合金もあります。

銀と銅の二元合金は、配合(銀72%・銅28%)により銀と銅が共晶します。このため焼き入れ焼きなましなどにより物理的特性が変わります。

いずれにせよ、銀元素と銅元素は双晶することなく、混ぜて合金にしても結晶が独立して混在し、凝固時には銅が析出し表面に浮き出して銅がローカルリッチになることがあります。この銅の偏析を火斑(ひむら)と呼びます。

銀と銅を混ぜるときには、黒鉛棒などで物理攪拌をしてよく混ぜ合わせることが必要です。

また、宝飾品では、金の品位を下げる割り金として銀が用いられます。K18イエローゴールドの場合ですと75%の金に対して残りの25%の割り金として銀や銅が用いられます。

25%全てが銀の場合には、古くは『青割り』と呼ばれ、近年ではカラーゴールドの一種としてグリーンゴールドまたは青割りとも呼ばれています。銀は同じ金合金のホワイトゴールドの割り金のひとつとしても使われる場合がます。

歯科技工では古くからパラジウムと合金した通称『銀パラ』があります。銀とパラジウムの合金は、パラジウムが多くなると鋳造性が極端に低下するため、パラジウムの比率を30%以下にします。

代表的な銀パラの組成は、銀60%前後、パラジウム30%以下、銅10%前後です。

一般的にパラジウムの含有量が増えると耐食性と強靭性が増し、銀が多いと柔らかくなるため強靭性が低くなります。

歯科鋳造用銀合金には、第一種と第二種があります。『銀合金』なので、銀を60%以上含有します。第一種は、口腔内での唾液による耐食性を向上させるためスズや亜鉛を含有します。

インジウムは5%未満で金や白金族を含有しないと定義されています。第二種は、金を含有せず、かつ白金族が10%以下と定義され、同時にインジウムを5%以上含有します。

現在パラジウムの価格が高騰しているため、パラジウムの代わりにプラチナを配合した歯科鋳造用銀合金第二種もあるようです。

代表的な銀合金
呼び名 銀(%) 銅(%) その他
コインシルバー 90 10 銀 色
スターリングシルバー 92.5 7.5 銀 色
四分一(金一分差し) 25 75 Ag+1 暗灰色
白四分一(金一分差し) 60 40 Ag+1 白灰色
上四分一(金石分差し) 40 60 Ag+1 灰 色
並四分一内三分(金一分差し) 30 70 Ag+1 濃灰色
並四分一外三分(金一分差し) 23 77 Ag+1 暗濃灰色
黒四分一 40 57.6 Au+2.4 黒灰色
銀パラ(一例) 60 10 Pd 30 銀 色