ベリリウム銅(べりりうむどう)
Beryllium Copper / BeCu
『BeCuは、銅に0.5 – 3%のベリリウムを加えた合金。さらに別の金属が加えられる場合もある。ベリリウム銅は、非磁性であり火花が出ない特性を持っている。 (中略)ベリリウム銅は延性があり、溶接や機械加工もできる金属材料である。(中略)
ベリリウム銅は、バネやバネ線材、ロードセルなど応力や歪繰り返しかかっても形状を維持する必要のある部品に使われる非鉄合金である。』
(ウィキペディアより抜粋)
溶態化処理と析出硬化処理で析出硬化させ、生活用品では、工具や眼鏡用パーツなどに使われている。
この合金は鋳造性が非常によい。
ベリリウム銅の溶体化処理と析出硬化処理
■ 溶体化処理
析出硬化プロセスの前準備となるステップ。
溶質原子(ベリリウム)を銅に固溶(過飽和固溶)させる工程。
1. 加 熱
ベリリウム銅を、約790〜850°C程度で20分から1時間加熱する。
2. 急 冷
水を張った槽に入れるなどして急冷(焼入れ)する。
急冷によってベリリウム原子が析出するのを防ぎ、ベリリウムが過飽和に固溶した軟らかい組織(α/alpha相)が得られる。この状態の材料は、成形や加工が容易となる。
■ 時効硬化処理(析出硬化)
実際に硬化させるステップ。
過飽和に固溶しているベリリウムを、母相(銅)の結晶格子内に微細で均一な第2相(金属間化合物、主にγ/gamma相)をCuBeとして析出させ、転位の動きを妨げることで硬化させる。
1. 再加熱
固溶した材料を、比較的低温で再加熱する。
2. エージング
一定の温度で一定時間(数時間)保持し硬化させる。
| 高濃度グループ | ||||
| Be含有量 | 代表的な規格 | 温 度 | 時 間 | 特徴/用途 |
| 1.6~2.0% | C17200(BeCu5) | 315±5℃ | 2~3時間 | 最高強度・高硬度 ばね、コネクタ、金型部品など。 |
| 1.0~1.4% | C17300(切削用) | 315±5℃ | 2~3時間 | 高強度と加工性 精密機械部品、切削加工品。 |
| 高伝導性グループ | ||||
| Be含有量 | 代表的な規格 | 温 度 | 時 間 | 特徴/用途 |
| 0.5~0.7% | C17510 (Ni添加) | 450~500℃ | 2~4時間 | 高導電性(約 45~60% IACS) 大電流用端子、リレー。 |
| 0.2~0.6% | C17500 (Co添加) | 450~500℃ | 2~4時間 | 高導電性(約 45~60% IACS) 溶接電極、ヒートシンク。 |
鋳造用語 索引
