鋳造用語集

デルタ鉄(でるたてつ)/ δ(デルタ)フェライト/
Delta-Ferrite / δ-Ferrite

鉄鋼材料が、融点に近い高温域で形成する結晶構造(組織)の一種。
純鉄では、約1394℃から融点である約1538℃までの温度範囲で安定して存在する。
広義では、δ鉄(デルタ鉄)を母相とした固溶体を指す。
デルタフェライトは、δ鉄の結晶格子(BCC構造)炭素や他の合金元素が溶け込んだ状態である。

純鉄を高温の溶融状態から冷却すると、
溶融鉄 → δフェライト → オーステナイト(γ)フェライト(α)
という順に結晶構造が変化する。

そのためデルタフェライトは、鉄が凝固した直後の非常に高い温度域に現れる組織として、鋳造や溶接における凝固過程を理解するうえで重要である。

なお、常温付近で存在するαフェライトとデルタフェライトは、どちらも同じBCC構造を持つ。両者の違いは結晶構造ではなく、オーステナイト(γ)を挟んで低温側に存在するものをαフェライト、高温側に存在するものをδフェライトと区別している

 

特  徴

  結晶構造
原子が立方体の頂点と中心に位置する体心立方格子(BCC)構造を持つ。
常温付近で存在するαフェライトもBCC構造であるが、デルタフェライトは融点に近い高温域で安定する点が異なる。

炭素の固溶量
オーステナイト(FCC)と比較して炭素を固溶できる量が少ない。
そのため凝固時には、炭素や合金元素がδフェライトと残った液相との間で分配され、成分の偏りが生じることがある。

鋳造・溶接との関係
ステンレス鋼などでは、凝固時に生成したデルタフェライトが室温まで一部残る場合がある。
適量のデルタフェライトは、オーステナイト系ステンレス鋼の溶接部などで高温割れを抑制する効果がある。
一方、過剰に残留すると、材料の靭性や耐食性などに影響する場合があるため、その量を適切に管理することが重要である。

 

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