鋳造用語集

鉄(てつ)
Iron

鉄は、紀元前5000年頃から使われていたとされている。名称の由来は、ケルト語で「聖なる金属」
鉄鋼の材料として、昔も今も人々の生活を支える中心的な金属元素。
人類が初めて出会った金属の鉄は、小惑星より飛来した鉄やニッケルなどの金属からできている隕鉄(いんてつ)であったろうと考えられている。
古代エジプトなどでは、隕鉄が装身具などの材料として利用されていた例が知られている。

鉄は造形がしやすく、かたくて丈夫な金属であるため、様々な用途に使われる。
しかし、鉄はイオン化傾向が比較的高い元素であるため、酸化しやすい(錆びやすい)という弱点をもつ。この弱点を克服するための一つの方法がトタンである。トタンは鉄の表面を亜鉛でコーティングし、鉄を酸化しにくくしたものである。
また、鉄とクロムの合金であるステンレスも、錆びにくい金属材料として、鉄同様に様々な用途に用いられる。

鉄は、微量ながら「酸素の運び屋」として人体内にも存在する。
ヘモグロビンに含まれる鉄原子は、肺などの酸素の豊富な場所に来ると酸素と結合し、逆に酸素の少ない場所までくると運んでいた酸素を放す性質がある。この性質を利用して、鉄は肺から取り入れた酸素を体の各部へと運んでいる。

鉄は、同素変態を示す金属のひとつ。

鉄/Iron(Fe)
鉄は、工業的に最も重要な同素変態を示す金属。
温度によって異なる結晶構造を持つことで知られ、これを相変態と呼ぶ。
鉄鋼材料の熱処理(焼き入れ、焼き戻しなど)はこの性質を巧みに利用している。
α 鉄(フェライト)常温から911℃までの安定相。
体心立方格子構造(BCC)を持つ強磁性体。
γ 鉄(オーステナイト)911℃から1392℃までの安定相。
面心立方格子構造(FCC)を持つ非磁性体。
δ 鉄(デルタフェライト)1392℃から融点までの安定相。
その後、温度上昇とともに再び体心立方格子構造(BCC)に戻る。
元   素   記   号  Fe
陽      子      数  26
価   電   子   数  - (N/A)
原      子      量  55.845
融                点  1535
沸                点  2750 
密                度  7.874
存      在      度地球  7万700 ppm   宇宙  9.00×105
代表的な製品自動車の車体・船舶の船体・橋梁・建物の鉄骨・鉄筋・電車のレール・パイプ・スチール缶など

 

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