鋳造用語集

リチウム
Lithium

1817年、スウェーデンの化学者ヨハン・アウグスト・アルフェドソン(Johan August Arfwedson)は、鉱物ペタライト(葉長石)を分析する中で、それまで知られていなかったアルカリ金属元素を発見した。当時は化合物として存在が確認されただけであり、1821年にウィリアム・トーマス・ブランド(William Thomas Brande)とハンフリー・デービー(Humphry Davy)が電気分解によって単体のリチウムを得ることに成功した。リチウムは、ナトリウムカリウムに続いて発見されたアルカリ金属である。

元素名(Lithium)は、ギリシャ語の「λίθος(Lithos:石)」に由来している。ナトリウムやカリウムが植物や動物から発見されたのに対し、リチウムは鉱物(石)から初めて発見されたアルカリ金属であったことから、この名称が付けられた。

リチウムは、第2周期・第1族に属するアルカリ金属である。電子配置は 1s²2s¹、価電子数は1個で、通常は+1価を示す。銀白色で非常に柔らかく、金属の中では最も軽い元素である。比重はわずか0.534で、水に浮く数少ない金属の一つである。また、アルカリ金属の中では最も融点が高く(180.5℃)、反応性も比較的穏やかであるが、水とは反応して水素を発生し、水酸化リチウムを生成する。

天然には単体では存在せず、スポジュメン(リチア輝石)、レピドライト(リチア雲母)、ペタライトなどの鉱物や、塩湖のかん水(リチウム塩水)に含まれている。近年では、チリ、アルゼンチン、ボリビアの「リチウム・トライアングル」やオーストラリアが主要な供給地域となっている。

リチウムは、非常に軽く電気化学的な電位が低いことから、リチウムイオン電池の主要材料として広く利用されている。また、アルミニウムマグネシウムとの軽量合金、耐熱ガラス・耐熱セラミックス、潤滑グリース、二酸化炭素吸収剤、核融合研究などにも利用されており、現代社会に欠かせない重要な元素となっている。

元   素   記   号   Li
陽      子      数  3
価   電   子   数  1
原      子      量
融                点   180.5
沸                点   1342
密                度   0.534
存      在      度   地球 約20 ppm    宇宙 水素やヘリウムに比べ非常に少ない
代表的な製品   リチウムイオン電池、耐熱ガラス、アルミニウム・マグネシウム合金、潤滑グリース、核融合研究材料

-こぼれ話-

リチウムは「宇宙誕生直後から存在していた数少ない元素」として知られています。
現在の宇宙論では、宇宙誕生から約3分後に起こったビッグバン元素合成によって、水素ヘリウム、そしてごくわずかなリチウムが作られたと考えられています。
つまりリチウムは、恒星の中で作られた元素ではなく、宇宙そのものの誕生とともに生まれた元素なのです。

しかし興味深いことに、実際の宇宙で観測されるリチウムの量は、理論計算で予測される量の約3分の1しかありません。この原因は現在でも完全には解明されておらず、「宇宙のリチウム問題(Cosmological Lithium Problem)」として、天文学や宇宙物理学における重要な未解決問題の一つとなっています。

このようにリチウムは、最先端の電池技術を支える元素であると同時に、宇宙誕生の謎を解く鍵を握る元素でもあるのです。

 

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