希 ガ ス(きがす)/ 希ガス元素(きがすげんそ)
Noble Gases
希ガス元素とは、周期表の第18族(Group 18)に属する元素群の総称である。
希ガス元素は、ガス元素のなかの、ヘリウム(He)、ネオン(Ne)、アルゴン(Ar)、クリプトン(Kr)、キセノン(Xe)、ラドン(Rn)、オガネソン(Og)の7元素から構成される。
希ガス元素は、最外殻電Og子が安定した電子配置を持つため、他の元素と反応しにくいという共通した特徴を持つ。このため、かつては「不活性ガス(Inert Gases)」とも呼ばれていた。しかし1962年、キセノン化合物の合成に成功したことから、完全に反応しないわけではないことが明らかとなり、現在では「希ガス(Noble Gases)」という名称が一般的に用いられている。
金属の溶解では、特にアルゴンが重要な役割を果たしている。
アルゴンは化学的に極めて安定であるため、
■ ロストワックス鋳造(ブロックモールド法)における真空加圧鋳造・真空吸引加圧鋳造・真空遠心鋳造
■ 高周波誘導加熱などによる溶解で酸化の激しい金属の溶解
などに広く利用されている。
また、ヘリウムはリークテスト(気密試験)や極低温技術、キセノンは高輝度光源や分析装置などの材料分野でも重要な元素である。
※窒素は、「空気中に多く存在し、反応しにくい」という点が希ガスと似ているため混同されやすいが、化学的には全く異なる元素群である。
希ガス元素の共通点
■ 常温・常圧ではすべて気体。
■ 周期表では第18族に位置する。
■ 希ガス元素は最外殻電子が満たされている。
■ 無色・無臭。
■ 単原子分子として存在する
■ 融点・沸点が非常に低い。
■ 電気・熱を通しにくい。
■ 放電すると元素ごとに異なる美しい発光を示す。
周期表の下に行くほど・・・
■ 周期表を下に行くほど、「原子半径は大きくなる」。
■ 周期表を下に行くほど、「沸点・融点は高くなる」。
■ 周期表を下に行くほど、「密度は大きくなる」。
■ 周期表を下に行くほど、「化学反応性はわずかに高くなる」。
特にキセノンとラドンは、フッ素など強い酸化剤と反応して化合物を作ることが知られている。
種類と用途
| アルカリ金属の種類と主な用途 | |
| ヘリウム(He) | MRI超伝導磁石の冷却・気球・ロケット燃料タンク加圧・溶接シールドガス |
| ネオン(Ne) | ネオンサイン・放電管・レーザー |
| アルゴン(Ar) | TIG溶接シールドガス・半導体製造・電球・食品パッケージの酸化防止及び緩衝材 ■ 誘導加熱による金属加熱における還元雰囲気材料 |
| クリプトン(Kr) | 高性能照明・レーザー・断熱ガラス |
| キセノン(Xe) | HIDランプ・フラッシュランプ・イオンエンジン・全身麻酔薬(研究・一部実用) |
| ラドン(Rn) | 地質調査・放射線研究 |
| オガネソン(Og) | 基礎研究 |
“希”ガスなのに、宇宙には大量にある?
「希ガス」という名前から、これらの元素は宇宙全体でも非常に珍しい元素だと思われがちです。
ところが、実際にはそうではありません。
希ガスの一つであるヘリウム(He)は、水素に次いで宇宙で2番目に多い元素です。
宇宙誕生直後のビッグバン元素合成によって大量のヘリウムが作られ、その後も恒星内部で水素の核融合によってヘリウムが作られ続けています。
それほど宇宙に多いヘリウムが、なぜ地球では貴重なのでしょうか。
ヘリウムは非常に軽く、他の元素とも反応しにくいため、大気中へ放出されると長い時間の中で地球の重力圏から宇宙空間へ逃げていきます。
そのため地球上で工業的に利用されるヘリウムは、主として地下でウランやトリウムなどの放射性元素が長い年月をかけて崩壊することで生じ、天然ガス田などに蓄積したものを回収しています。
つまりヘリウムは、
「宇宙ではありふれているのに、地球では貴重な元素」
なのです。
「希ガス」の「希」という文字だけを見ると非常に少ない元素のように感じますが、元素の豊富さは宇宙と地球ではまったく違って見えるという面白い例です。
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