不対電子(ふついでんし)
Unpaired Electron
不対電子とは、同じ電子軌道に対となる電子を持たず、単独で存在している電子のことである。
電子は通常、一つの軌道に最大2個まで入り、互いに逆向きのスピンを持つことで安定した状態をつくる。このような電子の組み合わせを電子対(対電子)という。
一方、軌道に電子が1個しか入っていない状態の電子を不対電子と呼ぶ。
不対電子は磁気モーメントを持つため、元素や材料の磁性を決める重要な要素となる。
電子対と不対電子
■ 対 電 子
2人が向かい合って座っている状態である。
互いの磁気モーメントは反対向きとなるため、打ち消し合う。
■ 不対電子
1人だけが座っている状態である。
磁気モーメントが打ち消されないため、磁石としての性質が残る。
なぜ不対電子ができるのか
電子は、フントの規則(Hund's Rule)に従って配置される。
例えば3つの同じエネルギーを持つ軌道がある場合、電子は最初から対にならず、「↑ ↑ ↑」とひとつずつ別々の軌道に入る。
その後、「↑↓ ↑ ↑」というように電子対が形成される。
これは、電子同士の反発を最も小させるためである。

不対電子と磁性
不対電子がある元素は、一般に磁場へ引き寄せられやすい。
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| 元 素 | 不 対 電 子 | 磁 性 |
| ■ 鉄 (Fe) | 4個程度 | 強磁性 |
| ■ コバルト (Co) | 3個程度 | 強磁性 |
| ■ ニッケル (Ni) | 2個程度 | 強磁性 |
| ■ マンガン (Mn) | 5個程度 | 強い常磁性 |
| ■ 銅 (Cu) | 0(ゼロ)個 | 非磁性 |
| ■ 亜鉛 (Zn) | 0(ゼロ)個 | 非磁性 |
※結晶中では電子配置や結晶場の影響を受けるため、実際の磁性は単純に不対電子の数だけでは決まらない。
遷移金属との関係
遷移金属では、d軌道に不対電子が残りやすい。
そのため「鉄」「コバルト」「ニッケル」などは磁石になる。
一方、「亜鉛」「カドミウム」「水銀」は、d軌道が完全に満たされているため、不対電子が存在せず、磁石にはならない。
レアアースとの関係
ランタノイド元素では4f電子が非常に強い磁気モーメントを持つ。
例:ネオジウム、サマリウム、ガドリニウム、テルビウム、ジスプロシウムは、多数の不対電子を持つため、非常に大きな磁気モーメントを持つ、これがネオジム磁石が非常に強力である理由のひとつである。
鋳造用語 索引
