鋳造用語集

不活性ガス(ふかっせいがす)
Inert Gas

『不活性気体ともいう。
化学合成や化学分析や反応性の高い物質の保存に利用される反応性の低い気体である。』
(ウィキペディアより抜粋)

代表的な不活性ガスには、窒素アルゴンヘリウムクリプトンなどがある。
金属溶解で使用する場合には、2つの理由が挙げられる。一つ目は、元来の目的である『金属の酸化』を防ぐものである。
二つ目は、純黒鉛製のカーボンルツボを使用する装置について、カーボンの酸化消費を防ぐ目的がある。
不活性ガスの中で、窒素が一番安価であるが、窒化する金属には使用できない。また、純度が低いと酸素などの残留があるので、溶解金属が酸化したり、黒鉛ルツボの消費が激しくなる場合があるので注意する。

不活性ガスの使い分けについて特段の定義はないが種類により注意点がある。

クリプトンガス
熱を伝えにくいため電球のフィラメントを保護する目的で多用される。

ヘリウムガス
大気中に存在するものの、工業用にはアメリカ合衆国のテキサス州やニューメキシコ州で採掘されたものに限定される。
極めて低い沸点を持ち、超電導体の冷却に使用される。安定したガスではあるが、コスト面から金属溶解用の不活性ガスとして使われるのは稀。

アルゴンガス
大気中のアルゴンは0.93%と窒素と比べ非常に少ないが、クリプトンガスやヘリウムガスと比べ安価な不活性ガスで、一般的には冷却剤として使用されたり、窒素と同様にアーク溶接で使用される。
アルゴンは液体空気分離装置で製造が可能なためヘリウムのように産地の限定はない。
ほとんどの条件下で他の物質との反応は見られないため、金属溶解用の不活性ガスとして最も信頼がおける。

窒素ガス
大気成分の約78%を占めるため最も安価な不活性ガスであり、食品保存や溶接で使用される。
金属溶解用の不活性ガスとしては、窒素と反応し窒化する金属には使用ができない。また、高温で反応を起こす場合がある。このため金属溶解で窒素を使用する場合には、使用する窒素ガスの純度と金属の種類に注意が必要となる。

 

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