焼きなまし(やきなまし)
Annealing
加工硬化した金属を再度柔らかくするなど、金属を一定の高温で保ち、結晶を再結晶させ、金属内部の歪を除去するための方法。
「焼鈍」と同義語。
プロセスは「焼きもどし」や「焼きならし」に似ているが、その目的が異なる。
金属を加温した後、放冷するのが一般的であるが、炭素量が多い鉄鋼材料や、加工し易いように完全に柔らかくしたい場合などは、炉冷を行う必要がある。
炉冷が必要な合金
■ 高炭素鋼・工具鋼 (SK鋼, SKS鋼など)
炭素量が多い鋼材は、少しでも冷えるのが速いと硬くなってしまう。
切削加工をしやすくするために限界まで柔らかくするには、1時間に30℃程度という極めてゆっくりとした炉冷が必要となる。
■ 合金鋼 (SCM, SNCMなど)
クロムやモリブデンなどの合金元素が含まれる鋼は、空気中で放っておくだけでも硬くなる性質(焼入性が高い)がある。
そのため、これらを「焼きなまし」て柔らかくするには、炉冷が必須となる。
■ 磁性材料(電磁純鉄など)
磁気特性を最大限に引き出すためには、内部のひずみを完全に取り除き、結晶粒を大きく育てる必要がある。
そのため、超低速の炉冷が行われる。
炉冷をしない焼きなまし
■ 非鉄金属(アルミ、銅、真鍮、貴金属)
これらの金属には鉄のような「変態」がないため、加熱して組織を再結晶させた後は、空冷や水冷をしても柔らかい状態が保てる。
むしろ、銅などは水冷した方が酸化膜が剥がれやすく、仕上がりが良くなるため積極的に水冷される。
■ 等温焼きなまし(等温焼鈍)
加熱後、特定の温度(例えば600℃前後)の炉に移し、そこで一定時間保持してから空冷する方法。
炉冷よりも短時間で済み、硬さのバラツキも抑えられるため、大量生産の現場(自動車部品など)でよく使われる。
■ 低温焼きなまし(応力除去焼鈍)
変態点(組織が変わる温度)より低い温度で加熱し、加工で溜まったストレスだけを抜く処理。
この場合は、組織自体を変化させる必要がないため、空冷で済ませるのが一般的。
■ オーステナイト系ステンレス (SUS304など)
「固溶化熱処理(容態化処理)」と呼ばれるが、これも焼きなましの一種。
約$1,000℃以上に熱した後、急冷(水冷)する。
ゆっくり冷やすと逆に成分が偏って錆びやすくなってしまうため、この材料に限っては「急冷が焼きなまし」となる。
→ 「熱処理」
鋳造用語 索引
