鋳造用語集

不規則格子(ふきそくこうし)
Disordered Lattice

結晶格子の一種で、複数種類の原子が格子点上に特定の規則を持たず、統計的にランダム(無秩序)に配置されている状態を指す。
この状態の固体を「不規則固溶体」と呼ぶ。

不規則格子ができるメカニズム

通常、合金凝固する際や高温状態にあるときは、熱運動によって原子は激しく入れ替わり、バラバラに混ざり合おうとする(エントロピーが増大するため)。
温度が下がると、原子間の相互作用により「特定の原子同士が隣り合いたい」という性質が強まり、整然とした規則格子を形成しようとする。
しかし、規則格子が形成される温度変態点以下に下がる前に急冷を行うと、原子が移動して定位置に収まる時間がなくなり、高温時のランダムな配置を維持したまま凝固・冷却が完了する。

具体例:銅と金の合金

-比較のため、用語集の「規則格子」での説明と同じ例をとって説明しますー

(Cu) (Au) の合金モル比1:1を例に挙げると、本来は面心立方構造 (fcc) を基礎としながら、低温では頂点にAu、面心にCuが配置されるような規則正しい構造をとる。
しかし、この合金を高温から急冷したり、非常に高い温度を保ったりすると、原子は「自分の定位置」へ拡散する余裕を失う。
その結果、結晶格子のどの位置にどの原子がくるかが確率的になり、見かけ上すべての格子点が「CuとAuが平均化された原子」で占められているような状態(不規則格子)となる。

■ 規則格子
単位格子の特定の部位(角や面心に配置される原子の種類が決まっている。

■ 不規則格子
どの部位にどの原子が来るかが統計的な確率濃度比に従う。
簡単に言えば、「角に金が来るか銅が来るかは確率による」というバラバラな状態となる。

※ 濃度比:ここでの濃度比とは、「その合金全体(あるいはその相)に含まれる原子の割合(モル比)」を指す。
例えば、銅50%・金50%の合金の場合、50%の確率で銅元素があり、50%の確率で金元素があるという状態。

不規則格子の特徴と性質

不規則格子は、規則格子と比べて以下のような性質の違いがある。

■ 電気抵抗が高い
原子配置が不規則だと、伝導電子の波が散乱されやすくなる。つまり、中を通る電子が原子にぶつかりやすくなり、電気抵抗が増大する。(規則正しく並んでいる方が電子はスムーズに動ける)

■ 延性と展性が高い
一般に規則格子は「原子の規則性」により転位(変形)が動きにくく硬くて脆い傾向があるが、不規則格子は比較的変形しやすく(原子の配列にゆとりがあるため)、加工性に優れる。

■ エネルギー状態
一般的に、高温では熱運動(エントロピー)が激しいため不規則状態が安定するが、温度が下がると電子間の結合エネルギーの関係から、規則格子へと変化しようとする(自由エネルギーが低くなるため)

 

 

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