高力黄銅(こうりきおうどう)
High-strength Brass
銅(Cu)と亜鉛(Zn)を主成分とする黄銅に、アルミニウム(Al)、鉄(Fe)、マンガン(Mn)などを添加し、強度、硬さ、耐摩耗性、耐食性を高めた銅合金である。特に鋳物用として広く使用され、「高力黄銅鋳物」と呼ばれる。
一般的な黄銅は加工性や鋳造性に優れているが、高力黄銅ではアルミニウム、鉄、マンガンなどを添加することで組織を強化し、通常の黄銅よりも高い引張強さ、硬さ、耐摩耗性を得ている。また、アルミニウムの添加は表面に保護性のある酸化皮膜を形成し、耐食性の向上にも寄与する。
高い強度と耐食性を兼ね備えるため、船舶用プロペラ、バルブ、ポンプ部品、歯車、軸受、ブッシュ、油圧機器部品、各種機械部品など、強度と耐久性が要求される用途に使用されている。
一方、高力黄銅は普通黄銅に比べて添加元素が多く、溶解・鋳造時には亜鉛の蒸発や酸化、成分変化などに注意する必要がある。特に高温での過熱は亜鉛の損失につながるため、適切な溶解温度と溶湯管理が重要となる。
普通黄銅の持つ優れた加工性や鋳造性を生かしながら、複数の元素を加えることで強度と耐久性を高めた――「黄銅をより強くする」ことを目的として発達した代表的な高強度銅合金である。
| 種 類 | 代表規格 | 代表的な組成 | 融 点 | 比 重 | 特徴/用途 |
| 高力黄銅鋳物1種 | CAC301 | Cu:約55~60%、Zn:残部、Al:約0.5~1.5%、Fe:約0.5~1.5%、Mn:約0.1~1.5% | 約880~930℃ | 約8.2~8.4 | 高強度・耐摩耗性。機械部品、軸受など |
| 高力黄銅鋳物2種 | CAC302 | Cu:約55~60%、Zn:残部、Al・Fe・Mn等を添加 | 約870~930℃ | 約8.1~8.3 | 高強度・耐食性。船舶部品、バルブ、ポンプなど |
| 高力黄銅鋳物3種 | CAC303 | Cu:約60%前後、Zn:残部、Al・Fe・Mn等を添加 | 約870~930℃ | 約8.1~8.3 | 高強度・耐摩耗性。大型機械部品、船舶部品など |
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