非 金 属(ひきんぞく)/ 非金属元素(ひきんぞくげんそ)
Nonmetals
非金属元素とは、金属特有の性質を持たない元素群の総称である。
周期表では主に右上部に分布し、水素を除くと金属元素の右側に位置する。非金属元素は、熱や電気を通しにくく、金属光沢を持たず、展性・延性に乏しいという特徴を持つ。また、多くは共有結合を形成し、生物や大気、水、岩石など、地球上のあらゆる物質を構成する重要な元素である。
非金属元素は、私たちの生命活動や産業を支えるだけでなく、金属材料の性質にも大きな影響を与える。そのため、材料工学や鋳造工学においても欠かせない元素群となっている。
周期表での位置
非金属元素は、第1族の水素と、第14~18族の右上部に分布する。
一般的には次の17元素が非金属元素に分類される。
| 非 金 属 | |||
| ハロゲン元素 | フッ素(F)・塩素(Cl)・臭素(Br)・ヨウ素(I)・(アスタチン(At))・テネシン(Ts) | ||
| 希ガス元素 | ヘリウム(He)、ネオン(Ne)、アルゴン(Ar)、クリプトン(Kr)、キセノン(Xe)、ラドン(Rn)、(オガネソン(Og)) | ||
| その他の元素 | 水素(H)・炭素(C)・臭素(Br)・リン(P)・硫黄(S)・セレン(Se)・酸素(O)・窒素(N) | ||
※アスタチンは、ハロゲン元素(第17族)だが、「金属的性質を示す可能性」「半金属的性質を示す可能性」が指摘されており、「非金属」と断定するには実験データが不足している。
そのため、「一般向け周期表では【ハロゲン】」「学術書では【分類未確定】という扱いが少なくない。
※オネガソンは、希ガス(第18族)に分類されるが、理論計算では、「常温で気体ではなく固体かもしれない」「他の希ガスより反応性が高いかもしれない」と予測されている。
そのため、「希ガス元素」ではあるものの、典型的な非金属とは性質が異なる可能性がある。
共通する性質
非金属元素には、次のような共通した特徴がある。
■ 熱や電気を通しにくい(黒鉛など一部例外を除く)
■ 金属光沢を持たない
■ 展性・延性がない
■ 共有結合を形成しやすい
■ 分子として存在するものが多い
■ 酸化物は酸性を示すものが多い
一方、炭素(黒鉛)は電気をよく通すなど、一部の非金属元素は例外的な性質を持つ。
常温での状態
| 非金属元素の常温での状態 | ||
| 気 体 | 液 体 | 個 体 |
| 水素・窒素・酸素・フッ素・塩素・ヘリウム・ヘリウム・ネオン・アルゴン・クリプトン・キセノン・ラドン | 臭素 | 炭素・リン・硫黄・セレン・ヨウ素 |
主な用途
■ 水素:燃料電池、アンモニア製造
■ 炭素:鉄鋼、電極、炭素繊維、電池
■ 窒素:肥料、不活性雰囲気、液体窒素
■ 酸素:製鉄、医療、燃焼
■ リン:肥料、半導体、リチウムイオン電池
■ 硫黄:硫酸、ゴム加硫、農薬
■ セレン:太陽電池、光センサー
■ ハロゲン:消毒剤、樹脂、医薬品
■ 希ガス:照明、レーザー、溶接、半導体製造
金属への影響・用途
■ 炭素:鋳鉄や鋼の機械的性質を決定する。
■ ケイ素(半金属):鋳鉄の黒鉛化を促進する。
■ 酸素:酸化や介在物の原因となる。
■ 水素:アルミニウム合金ではブローホールの主な原因となる。
■ 窒素:高温では一部の金属と反応し、窒化物を形成する。
■ アルゴン:酸化防止用の不活性雰囲気として広く利用される。
非金属元素は、「生命をつくる元素」として知られています。
人体の約96%は、酸素(O)・炭素(C)・水素(H)・窒素(N)
という、わずか4種類の非金属元素で構成されています。
さらに、リンはDNAやATP(生命活動のエネルギー源)を構成し、硫黄はタンパク質をつくるアミノ酸に含まれています。
つまり、生命の骨格をつくっているのは、ほとんどが非金属元素なのです。
一方で、鉄やカルシウム、ナトリウム、カリウムなどの金属元素は人体全体では数%しか含まれていませんが、酸素の運搬、骨格の形成、神経伝達など、生体機能を維持する重要な役割を担っています。
このように、「生命の骨格は非金属がつくり、その働きを金属が支える」という関係は、人体だけでなく生物全体に共通する特徴といえます。
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