全率固溶体(ぜんりつこようたい)
Complete Solid Solution
2つの物質がどのような割合で混ぜられても、互いに完全に溶け合い、均一な単一相の固体となる(固溶)する合金。
つまり、限界(固溶限)が存在せず、0%から100%までのどの組成でも均一な固体が形成される。
ほとんどの合金は、金属元素を溶媒とする固溶体で形成される。
全率固溶体は、複数の金属原子がさまざまな濃度で不規則に溶け合い、同じ結晶構造をもつ個体。
金属と非金属は固溶するが、この全率固溶体は存在しない。
全率固溶体が形成される条件
以下の条件が全て満たされると、全率固溶体が形成しやすくなる。
■ 原子半径
原子半径の違いが10%程度までは完全に固溶するが、それ以上では固溶度は急激に減少し、15%以上ではほとんど固溶しなくなる(ヒューム・ロザリーの法則)。
■ 結晶構造
溶質元素のと溶媒元素が、単体として同じ結晶構造を持つこと。
■ 電気陰性度
電気陰性度に大きな差がないこと。
差が大きいと、固溶体ではなく、金属間化合物を形成しやすくなる。
■ 価電子数
価電子数が近いこと。
全率固溶体を作る代表的な合金には、「ニッケルと銅」「ゲルマニウムとケイ素」「金と銅」「金とパラジウム」「金と銀」などがある。
鋳造用語 索引
