ニッケル合金(にっけるごうきん)
Nickel Alloys
ニッケルを含有する合金の総称。
一般的に耐熱・耐食性に優れた金属として、目的に合わせた用途で使われている。
ニッケル銅合金(Ni-Cu)
ニッケルと銅を主成分とする合金で、特に海水やフッ酸などに対する優れた耐食性で知られている。
■ モネル (Monel)
モネル400、モネルK-500など。
高い強度と耐食性を持ち、海水環境や化学プラントの機器、配管などに使用される。K-500は析出硬化によりさらに高強度化されている。
■ 白銅 (Cupronickel)
銅の割合が高く、美しい銀白色を呈し、硬貨(50円玉、100円玉など)や船舶部品、熱交換器などに使われる。組成はニッケルと銅の他に亜鉛 (Zn)が含有される。
ニッケルクロム合金(Ni-Cr)ニッケルクロム鉄合金(Ni-Cr-Fe)
クロムを添加することで、耐熱性と耐酸化性を大幅に向上させている。
鉄を含むことで加工性も向上する。
この系統には、高温環境で使用されるニッケル基超合金の多くが含まれている。
■ インコネル (Inconel):
インコネル600、625、718など。
高温での強度、耐酸化性、耐食性に優れており、ガスタービンエンジン部品、化学処理装置、航空宇宙産業で使用される。
インコネル600はNi-Cr-Fe系で耐食性・耐熱性に優れ、インコネル625はモリブデンを含み、さらに高温強度と耐孔食性が高くなっている。
■ ハステロイ (Hastelloy)
ハステロイC-276、B-3など。
ニッケルとモリブデン(Mo)、クロム(Cr)などを添加した合金で、極めて高い耐食性を持ち、特に化学プラントの厳しい腐食環境(強酸など)で使用される。
■ ニクロム (Nichrome)
ニッケルとクロムの合金で、高い電気抵抗と優れた高温での耐酸化性を持つため、一般的な発熱電線(ニクロム線)して広く使われる。
ニッケル鉄合金(Ni-Fe)
ニッケルと鉄を主成分とし、磁気特性や熱膨張特性に特化した合金。
■ パーマロイ (Permalloy)
ニッケル含有量が高く、高い透磁率を持つ軟磁性材料であり、変圧器の鉄心や磁気ヘッドなどに使用されます。
■ インバー (Invar)
鉄に約36%のニッケルを含有し、熱膨張係数が極めて小さい(低熱膨張)のが特徴。
精密機器の部品や測定機器などに使われている。
■ コバール (Kovar)
鉄、ニッケル、コバルトの合金で、ガラスやセラミックスと熱膨張率を合わせる(封止する)ために、電子部品のリード線などに使用される。
ニッケルチタン合金(Ni-Ti)
■ ニチノール (Nitinol)
ニッケルとチタンがほぼ1対1の合金で、形状記憶効果と超弾性というユニークな特性を持つ。
医療機器(ステントなど)やメガネのフレーム、アクチュエータなどに利用される。
洋白銀(キュプロニッケル)
銅 (Cu)、亜鉛 (Zn)、ニッケル (Ni) を主成分とする三元合金の総称。
別名として洋銀(ようぎん)、ニッケルシルバー(Nickel Silver)、ジャーマンシルバー(German Silver)とも呼ばれている。
名称に「銀(シルバー)」とあるが、銀(Ag)は全く含まれいない。
ニッケルを添加することで、純銀に似た美しい銀白色の光沢を持つことから、この名で呼ばれている。
洋白銀と呼ばれる銅-ニッケル-亜鉛合金で、その組成の違いにより使用される目的が異なる。
■ 食器・一般的な洋白銀
銅(約62%)・ニッケル(約14%)・亜鉛(約24%)は、いわゆる一般的な洋白銀であり食器などの金属材料として使用されている。
■ JIS規格C7701
銅(約56%)・ニッケル(約18%)・亜鉛(約26%)は、ばね材や接点材として使用されている。
■ 高ニッケル品
ニッケルの組成比を20~30%にすることで、ばね特性と耐食性が向上する。
| 名 称 | ニッケル含有量 | その他の成分 / 備考 | |
| アルメル | 94% | アルミ2%・マンガン2.5%・ケイ素1%・鉄0.5% | |
| クロメル | 90% | クロム10% | |
| ニッケルクロム鋼 | 80% | クロム15%・鉄5% | |
| ニクロム(NCH-1) | 78% | クロム20%・ケイ素1.2% | |
| 78% パーマロイ | 77% | 鉄13.5%・モリブデン4.2%・銅5% | |
| 45% パーマロイ | 45% | 鉄54% | |
| ナイモニック(N-80A) | 76% | クロム19.5%・チタン2.4%・アルミ1.4% | |
| インコネル(600) | 72% | クロム14~17%・鉄6~10% | |
| ハステロイ(HC-22) | 57% | クロム20.5%・モリブデン14.2%・鉄2.3%・タングステン3.2%・バナジウム0.25%・炭素0.01% | |
| インコロイ(I-825) | 42% | 鉄30%・クロム21.5%・モリブデン2.2%・銅2.2%・チタン0.9% | |
| カーベンタ(C-20Cb3) | 35% | 鉄37%・クロム20%・銅3.5%・モリブデン2.5%・ニオブ+タンタル0.6% | |
各ニッケル合金の比重や融点については、弊社ホームページの「資料館」の「金属お比重と融点/合金の名前で選ぶ」をご参照下さい。
鋳造用語 索引
