ロストワックス鋳造 の ブロックモールド法 (ソリッドモールド法)では、主に2種類の 埋没材 があります。
一つは、 石膏 が混合されている結合型の 埋没材 です。水を混ぜると固まる性質で結合型埋没材と呼びます。もう一つは石膏以外のセラミックが主材の無結合型の埋没材です。水ではなく バインダー で固まる性質で、 無結合型埋没材 と呼びます。
バインダーにはいくつか種類があり、歯科技工で多用されるリン酸塩系埋没材とシリカ100%の シリカ系埋没材 に分かれます。
ロストワックス鋳造での2種類の埋没材
石膏系埋没材
750℃以下の焼成で、融点1200℃以下の金属の鋳造に使用
対応金属
- 金 合金(イエローゴールド系・ ホワイトゴールド (Pd 6%以下)
- 銀 合金( コインシルバー ・ スターリングシルバー ・ 白四分一 等)
- 銅 合金( 真鍮 ・ ブロンズ ・ アルミ青銅 ・ 洋白銀 (融点1300℃以下)等)
- アルミ (鋳造用アルミ・ ジェラルミン 等)
- 亜鉛 合金( ピューター ・ ホワイトメタル 等)その他融点1250℃以下の金属
※融点が1200℃に近い金属に関しては、その形状等によりシリカ系埋没材が好ましい場合もあります。
※純銅や銅成分が多い銅合金( 丹銅 ・ 赤銅 等)にはシリカ系埋没材の使用を強くお勧めします。
シリカ系埋没材
900℃から950℃の焼成で主に 高融点高金属 の鋳造に使用
※金属により他の埋没材を使用します。歯科技工では、他の埋没材も併用します。
※ セラミックモールド は、他の鋳型材を使用します。
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石膏系埋没材
石膏系の埋没材はシリカ粉末に アルファ石膏 が混ぜられた埋没材です。
石膏が入っているので水と混ぜ合わせると固まります。凝固は混水後10分程度で始まるため、その間に混錬作業と 脱泡 ( 二次脱泡 を含む)を終了する必要があります。
室温が高いと速くなり、低いと遅くなります。また、食塩水を混ぜると速くなり、砂糖水を混ぜると遅くなります。
石膏成分は750℃以上で熱分解が始まり、ガス鋳巣の原因となります。(700℃以上との論文もある)このため、基本的には焼成温度は750℃より温度上げません。
鋳造金属については融点1300℃以上の鋳造には使用せず、シリカ系埋没材を使用します。
石膏といえばコレ。
鋳造工場で最も優先されることは、一定の品質を安定して提供し続ける事です。
『ある時は抜群に良く』『ある時は悪い』鋳造では、安定感のある生産は望めません。
安定した 歩留まり を確保するために鋳込み能力はとても重要ですが、失敗しないキャストには鋳型造りも重要な条件のひとつです。
スーパーベストは品質が崩れない高い安定性があり、低価格で日本の市場を圧巻しました。
現在は販売されておりませんが、名前を変えてSV20として販売されています。
型崩れの少ない鋳型が欲しい。
鋳型を 焼成 する前の埋没材は、気候などの影響を受けやすく『型崩れ』などが起きやすくなります。
なぜなら 石膏系埋没材 はほぼ海外製のため、日本の気候風土には対応しきれない場合があります。特に梅雨の時期や秋雨の降る気候の変化がある季節には埋没条件を変えなければいけません。
複雑で微細な形状を鋳造する場合、鋳型内の隔壁が薄くなる傾向があり、この部分で型崩れを起こす場合があります。型崩れを防止するにはウルトラベストのような焼成前の 生型強度 が高いものをお勧めします。
同時に、鋳造後の 脱型 では、鋳型が硬すぎると、鋳造物の取り出しで手間がかかるため、脱型性も重要です。
滑らかな鋳肌で研磨工程でのロスを削減したい。
宝飾品は一般の金属製品と異なり、鋳造後の研磨工程において高い水準の鏡面仕上げが求められます。
その研磨工程では、研磨によって失われる地金のロスや時間的なコスト、研磨にかかる材料コストが発生し、結果的に商品のコストアップになることも少なくありません。
鋳肌表面の滑らかさが抜群のウルトラベストマックスを使用すると埋没材コストは上がりますが、研磨工程でのロスを削減でするので総合的な利益につながりやすくなります。
3Dプリンターのモデルをキャストしたい。
宝飾品の小ロット生産やオンリーワン製品の生産には 3Dプリンター が欠かせなくなりました。
とくに他の業界と比べ SLA方式 や DLP方式 などの 光造形システム の普及が進み、各3Dプリンターメーカーからもキャスタブルレジンがリリースされ、もはや 3Dプリンター樹脂 のスタンダード素材のひとつとなりました。
但し、いくら『キャスタブル』といっても、結局は光造形樹脂(アクリレート)にワックスを混ぜたものなので、通常の インジェクションワックス と同じ焼成条件では失敗する確率がまだ多く残っています。
問題は各キャスタブルレジンで微妙な違いがあり、一発解決の焼成条件がないことです。
また、アクリレートは基本的に温度で溶解せず110℃から120℃でゆっくりと 昇華 します。3Dプリンター樹脂の鋳造が難しい理由は、固体の状態で80℃から110℃で急激に 膨張 し、この膨張の 応力 が鋳型の内部を破壊してしまうことです。
これを解決するには高分子系の素材の急激な膨張に耐久できる、プラスティキャストのような強固な生型強度のある埋没材が必要となります。
短い時間で鋳型を焼成したい。
この15年商品価格が下降傾向にあり、利益を出すためには大量発注・短納期に対応する生産性が求められています。
企業側では、在庫による 資金の回転率 の低下を避けるため発注から納品までの時間が以前より極端に短くなっています。
鋳造工程全体でもっとも時間がかかる工程のひとつは 焼成 時間です。やみくもに焼成時間を短くすると鋳造失敗のリスクが高くなるので安易に時間短縮はできません。
焼成時間の短縮にはギフトのような ヒートショック 対応の埋没材が必須となります。
少量だけ購入したい。
個人で製作されている方、アトリエで製作されている方など、大量に埋没材を使わない方向けに内容量2kgの小分け販売もしております。
チャック付きの袋なので、しっかり防湿され長期保存が可能です。また、独立型なので収納する時にも便利です。
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