遷移金属(せんいきんぞく)
Transition Metals
遷移金属とは、周期表のdブロック(第3族~第12族)に位置し、原子または代表的なイオンが不完全なd軌道を持つ金属元素の総称である。これらの元素は周期表の中央部に位置し、多くが硬く丈夫で、優れた電気伝導性・熱伝導性を持つ。また、複数の酸化数を示すものが多く、多彩な化学反応や合金形成能力を有することから、現代の工業・機械・電子・化学産業を支える最も重要な元素群となっている。
「Transition(遷移)」とは「移り変わる」という意味である。周期表では、価電子がs軌道のみで構成される典型元素(主族元素)から、d軌道へ電子が入り始める元素群であることから、この名称が付けられた。
遷移金属の多くは、鉄(Fe)、銅(Cu)、ニッケル(Ni)、クロム(Cr)、チタン(Ti)など、私たちの生活や産業に欠かせない金属である。鉄鋼材料、ステンレス鋼、工具鋼、耐熱合金、航空機材料、電子部品、触媒、自動車、建築材料など、その用途は極めて幅広い。
また、遷移金属はd軌道電子の影響により、複数の酸化数を示すこと、着色した化合物を作りやすいこと、優れた触媒作用を示すこと、他の金属との合金を形成しやすいことなどが共通した特徴として知られている。これらの性質は、一般的な主族元素ではあまり見られない特徴であり、化学・材料工学・鋳造工学において極めて重要な元素群となっている。
共通する特徴
■ 周期表では第3族~第12族に位置する。
■ dブロック元素に分類される。
■ 価電子は主に ns¹~²、(n-1)d¹~¹⁰ に配置される。
■ 複数の酸化数を示す元素が多い。
■ 有色の化合物を形成するものが多い。
■ 優れた触媒作用を示す元素が多い。
■ 他の金属との合金を作りやすく、機械的性質を大きく改善できる。
■ 電気伝導性・熱伝導性に優れる。
■ 多くは高い融点と優れた機械的強度を持つ。
属する元素
| 第4周期 |
| スカンジウム(Sc)・チタン(Ti)・バナジウム(V)・クロム(Cr)・マンガン(Mn)・鉄(Fe)・コバルト(Co)・ニッケル(Ni)・銅(Cu)・亜鉛(Zn) |
| 第5周期 |
| イットリウム(Y)・ジルコニウム(Zr)・ニオブ(Nb)・モリブデン(Mo)・テクネチウム(Tc)・ルテニウム(Ru)・ロジウム(Rh)・パラジウム(Pd)・銀(Ag)・カドミウム(Cd) |
| 第6周期 |
| ハフニウム(Hf)・タンタル(Ta)・タングステン(W)・レニウム(Re)・オスミウム(Os)・イリジウム(Ir)・白金(プラチナ)(Pt)・金(Au)・水銀(Hg) |
| 第7周期 |
| ラザホージウム(Rf)・ドブニウム(Db)・シーボーギウム(Sg)・ボーリウム(Bh)・ハッシウム(Hs)・マイトネリウム(Mt)・ダームスタチウム(Ds)・レントゲニウム(Rg)・コペルニシウム(Cn) |
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