脱酸材(だっさんざい)
Deoxidant / Deoxidizer / Deoxidizing Agent / Refiner
写真は、リン銅(弊社販売商品)
脱酸材の種類 | ||
元 素 名 | 対 象 金 属 | 脱酸効果以外の効能と注意 |
亜鉛 / Zn | 銀合金・金合金・銅合金 | 溶湯の流動性を向上させる。黄銅系及びアルミ青銅には合金材料に含有されているため不要。但し、溶解の際の亜鉛の蒸発分を補充する程度の添加は望ましい。 |
アルミニウム / Al | 鉄系金属・ニッケル合金 | 脱酸効果に加え、鉄系金属の結晶粒を微細にする。但し、窒化するとAIN(酸化アルミニウム)を生成して著しく表面硬化する。 |
カルシウム / Ca | チタニウム合金・鋼・ステンレス | チタニウムの脱酸にはかかせない元素。カルシウムとケイ素の合金は、鋼やステンレスなどの特殊鋼の脱酸に使用される。カルシウムは、金の機械的強度を高めることが可能。 |
ケイ素(シリコン) / Si | 鉄系金属・銅合金・銀合金・金合金 | 脱酸効果に加え、溶湯の流動性を向上させ、材料の強度を高める効果がある。鉄系合金には、二次脱酸材として使用される。 鉄系金属にはケイ素・鉄のフェロアロイ(フェロシリコン)を使用し、脱酸と鋼の強度を向上させる。 |
リン/ P | 鉄系金属・純銅/青銅系合金・銀合金・金合金 | 一般的には不純物として扱われる。鉄系合金には被削性や耐食性を向上させる効果がある。粒界に偏析しやすい元素のため、材料の強度や靭性を低下させる。鋳造の押し湯に気化せず残留するため繰り返しの使用に注意する。但し、純銅や青銅では脱酸生成物が350℃で昇華し残留はないが、過剰なリンは銅合金の凝固温度が広がるため注意する。 |
チタニウム / Ti | 鉄系金属 | 過剰投入で材料の硬化と脆化の原因となる。また、酸素・窒素・水素の固溶度を上げるため使用量に注意する。 |
バリウム / Ba | 高純度鋼 | カルシウム・マンガン・ケイ素・アルミニウムの脱酸効果を補助。 結晶粒の調整などの接種剤として鋼鉄や鋳鉄への添加。 半田材などの鉛-錫合金の耐クリープ性を増加させる。 |
ベリリウム / Be | マグネシウム | ベリリウムは、溶湯のマグネシウムの酸化を減少させる。 溶湯の脱酸効果は無いが、凝固後の金属表面に不活性膜を作るため、アルミニウム・マグネシウム・銅合金などの金属固体の酸化を防ぐ効果がある。 |
ホウ素(ボロン) / B | 銀合金 | 銀合金中の酸素との親和性に富み、優先的に酸化物を形成・分離して、凝固後に溶湯界面にスラグとして浮遊させる。 ホウ素の化合物である硼砂(四硼酸ナトリウム)は、脱酸効果はないが、878℃でガラス状になり溶湯界面に浮遊するため界面から侵入するガスを遮蔽する効果がある。硼酸(酸化ホウ素)も850℃前後で溶解し硼砂と同様の効果がある。硼砂や硼酸は、脱酸材を投入した後、チタニウムやプラチナ合金などの一部の金属を除く殆ど全ての金属の溶解で使用が可能。 |
マグネシウム(Mg) | 鉄系金属 | 酸素と硫黄に対する親和性が強い。『投入量は1%が目安でそれ以上入れても効果に変化は望めない。マグネシウムの投入はCu-Mgの母合金で行う。マグネシウムはマグネシウム球状黒鉛鋳鉄において球状黒鉛中に臨界以上残留することが必要』。 参考論文:「球状黒鉛鋳鉄におけるマグネシウム添加による反応性/岡林 邦夫」 |
マンガン(Mu) | 鉄系金属 / プラチナ合金/ニッケル合金 | マンガンは、酸素と結合し酸化マンガンを形成して酸素を取り除く効果がある。 鉄系金属の脱酸及び、脱硫黄効果がありフェロアロイ(フェロマンガン)を添加する。高炭素フェロマンガンと中低炭素フェロマンガンがある。鉄系合金の脱酸では一次脱酸材として使用される。 また、ステンレスには、マンガン・ケイ素・鉄からなるフェロアロイ(シリコマンガン)が脱酸・脱硫と成分調整として使用される。 プラチナ合金・ニッケル合金の脱酸材として使用され、ケイ素(シリコン)やアルミニウムの脱酸効果をより高める効果がある。地金中に残留する。残留量が多いと粒界に偏析し、材料の強度や靭性を損ねるため、鋳造後の押し湯などでの再生時には添加量に注意する。 |
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